「このドラマが大好きな理由の一つは、自分の声を見つけ出す女性の物語だから。私たちが自分の声を発することができる最も重要な場の一つが選挙だ」
各界の有望な30歳未満を選出するフォーブスの「30アンダー30」、2019年版のハリウッド&エンタテインメント部門には、知名度を活かして自身の声を上げる若者たちがそろった。NBCドラマ「チャンピオン」のJ.J.トタ(17)はトランスジェンダーであることをカミングアウトして以来、10代のLGBTQの代弁者として活躍する。
映画「スター・ウォーズ:最後のジェダイ」のケリー・マリー・トラン(30)は、ネットで容姿や人種に関するヘイトコメントを受けてきた経緯をニューヨーク・タイムズに寄稿した。
自分で物語を語るために、カメラの反対側に回った女優もいる。「HOSTAGE ホステージ」などへの出演で知られるクイン・シェファード(23)は、監督・脚本・プロデュース・主演を務めた「Blame」で高校生活の過酷さを描き、トライベッカ映画祭に出品された最年少女性監督となった。
また、「君の名前で僕を呼んで」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたティモシー・シャラメ(22)、「Love,サイモン 17歳の告白」でゲイの高校生が主人公のロマンティック・コメディをメインストリームに押し上げたニック・ロビンソン(23)、「レディ・プレイヤー1」のタイ・シェリダン(22)など、興行と批評の両面で成功を収めた映画の立役者たちもリストに入った。
「レディ・プレイヤー1」は北米で1億3700万ドル(約155億円)、全世界で5億8229万ドル(約658億円)の興行成績を記録し、過去10年のスティーヴン・スピルバーグ監督作で最もヒットした作品だ。
調査会社comScoreのアナリスト、ポール・ダーガラベディアンは主演したシェリダンの魅力を「(大規模な)映画を背負うことは多大なプレッシャーを意味するが、彼は重圧に負けずに自分の作品にしてしまった」と分析する。
テレビ界からは、前出のブロズナハンの他、「アトランタ」のヒロイン・ヴァン役でエミー賞コメディシリーズ部門助演女優賞にノミネートされたザジー・ビーツ(27)と、ライアン・マーフィーが手がける話題のドラマ「Pose(原題)」でホームレスのダンサー役を演じて一躍注目を浴びたライアン・ジャマール・スウェイン(24)が名を連ねた。ビーツは大ヒット映画「デッドプール2」にもドミノ役で出演しており、今後は映画での活躍も見込まれる。
22歳の女性ユーチューバーも選出
その他、将来が期待されるクリエイターとして「オーシャンズ8」の共同脚本と共同プロデュースを手がけたオリビア・ミルチ(29)、長編監督デビュー作「search/サーチ」でサンダンス映画祭観客賞他を受賞したアニーシュ・チャガンティ(27)、製作会社End CueのCEOで「The Clovehitch Killer(原題)」などをプロデュースしたアンドリュー・コースカック(28)、ケヴィン・ハート主演のウェブシリーズ「Cold a Balls」を送り出したOBB Picturesのマイケル・ラトナー(29)らがリスト入りを果たした。
デジタル世代らしく、インターネットから生まれたスターもいる。YouTubeチャンネル登録者数1630万人、再生回数25億回を誇るリザ・コッシー(22)だ。自宅で撮影したパロディやジョーク動画で人気を博した彼女は、現在テレビのゲーム番組「Double Dare」やMTVの「TRL」の司会を務める他、女優としてHuluのドラマ「フリーキッシュ 絶望都市」にも出演する。さらにYouTube Redで冠番組「Liza on Demand」も始めた。
「これまでにもらった最悪のアドバイスは『ユーチューブにはアップするな。もう終わっている』というもの。今やっている仕事はすベてユーチューブのおかげなのに」とコッシーはいう。
2019年度版「30アンダー30」のハリウッド&エンタテインメント部門は、2018年12月31日時点で30歳未満の俳優や脚本家、プロデューサー、監督らを選考対象とし、全30組を選出した。今回の最年少は15歳のストーム・リードとエルシー・フィッシャーだった。