Need To Impeachはスタイヤーが自ら立ち上げた活動で、トランプの弾劾を目標としている。スタイヤー自身は2020年の大統領選に立候補する意志がないことも明らかにした。
「法を守らない大統領がホワイトハウスを支配し、アメリカの民主主義を腐食させている。状況は悪化するばかりだ」とスタイヤーは声明で述べた。
ここ数カ月の間、スタイヤーが次期大統領選に出馬するとの憶測が高まる中で、12月にはリンクトイン上で彼の事務所スタッフが、選挙関連の人員を募集していることが報じられた。
フォーブスは昨年12月にスタイヤーを取材したが、その際に彼は、大統領選出馬についての回答を避け「ここ数年は社会活動家としての事業に専念していく」と述べていた。しかし、彼は元マサチューセッツ州知事のデバル・パトリックと懇意にしていることを明かし、バラク・オバマ元大統領のアドバイザーを務めたパトリックが、次期大統領選に立候補することを期待していると述べていた。
スタイヤーはここ数年、膨大な資産を政治活動に注いでいる。2018年の米中間選挙では民主党を支援し、4300万ドルを若者の投票促進運動に寄付した。彼はまた1400万ドルを上院、下院および知事選の候補者らに注ぎ、3000万ドルをクリーンエネルギーのイニシアチブに寄付していた。
彼は自らが大統領候補となる可能性を、繰り返し否定しているものの、彼の話しぶりはまさしく大統領候補そのものであり、そのことがさらに噂に火をつけている。クリーンエネルギーを推進する彼に、フォーブスが現在の米国の石油採掘業界について尋ねると、スタイヤーははこう返した。
トランプ追放賛同者は700万人
「クリーンなエネルギーを産出しアメリカを持続可能にするために、5万5000人の採掘現場の労働者たちの協力が必要だ。クリーンエネルギー業界は、数百万人の雇用を創出するポテンシャルを秘めている。しかし、将来の数百万人の雇用を掲げて、5万5000人の労働者からの票を得ることは実際の政治の現場では難しい」
スタイヤーは今回の声明で2020年の大統領選出馬を否定したものの、将来的な大統領選出馬の可能性を完全に打ち消した訳ではない。出馬するための資金も十分にある。
フォーブスは現在の彼の資産額を16億ドル(約1740億円)と試算しており、その大半は彼が26年間に渡り運営してきた、ファラロン・キャピタルからもたらされたものだ。彼が立ち上げたNeed To ImpeachのEメールリストには、既に700万人が加わった。
当面のところスタイヤーは、膨大な資産と政治的野心を抱えつつ、政界の中心から距離を置いている。次の大統領に期待するものは何か、と尋ねると彼は「未来に対する前向きなビジョンだ」と答えた。