そんな中、国際鉱物学連合が新たに認定したカーメルタザイト(carmeltazite)と呼ばれる鉱石が注目を集めている。カーメルタザイトという名前は、この石がイスラエルのカルメル山(Mount Carmel)で発見されたことに由来している。また、この石はチタニウムやアルミニウム、ジルコニウムなどを含んでいる。
カーメルタザイトはイスラエル北部のハイファの火山岩の、コランダム(非常に固いアルミニウムの結晶)の中から見つかった。結晶構造の中に微量のスカンジウムやカルシウム、マグネシウムを含むこの石は、ジルコニウムとアルミニウム、チタニウムが複雑に絡まって生まれた鉱石だ。
興味深いことに、カーメルタザイトの化学組成は1969年2月8日にメキシコに落下したアエンデ隕石によく似ている。この鉱石が生まれたのは今から6500万年前のことと推定されている。
カーメルタザイトやその母体であるコランダムは、地表から約30キロメートルの深部にあるマントル層で形成されたものだ。地下の高熱と非常に高い圧力を受けて、岩が液状化し、新たな種類の鉱石が生まれた。その後、カーメルタザイトを含むコランダムは、火山活動の影響を受けて地表近くまで押し上げられてきた。
カーメルタザイトは、火山岩のなかに埋まった状態で発見された。大きなブルーサファイアに似たメタリックな輝きを放つ、ほとんど黒に近いグリーンの石として見つかったという。これまで見つかったなかで最大のカーメルタザイトは、33.3カラットのものだ。
採掘企業のShefa Yamimは、この石を「カーメル・サファイア」という名で市場に送り出そうとしている。現状では今後どの程度のボリュームのカーメルタザイトが採掘可能であるかは定かではないが、Shefa Yamimはカルメル山の火山岩の中から、さらにこの鉱石を採掘可能だと考えている。
宝石の価値は一般的に、その鉱石の稀少性を反映するものだ。カーメルタザイトが将来的に、ダイヤモンドよりも高値で取引される可能性もある。