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2019.01.18

ダイヤモンドよりも高価になる可能性の新鉱石、イスラエルで発見

カルメル山(MOR BEN ZION / Shutterstock.com)

地球上には現在、5500種類以上の鉱石が存在し、毎年約100種類の新たな鉱石が発見されている。しかし、新たな種類の大半は見た目が冴えないため宝石には向かない。また、稀少すぎて経済的価値につながらない鉱石も多い。

そんな中、国際鉱物学連合が新たに認定したカーメルタザイト(carmeltazite)と呼ばれる鉱石が注目を集めている。カーメルタザイトという名前は、この石がイスラエルのカルメル山(Mount Carmel)で発見されたことに由来している。また、この石はチタニウムやアルミニウム、ジルコニウムなどを含んでいる。

カーメルタザイトはイスラエル北部のハイファの火山岩の、コランダム(非常に固いアルミニウムの結晶)の中から見つかった。結晶構造の中に微量のスカンジウムやカルシウム、マグネシウムを含むこの石は、ジルコニウムとアルミニウム、チタニウムが複雑に絡まって生まれた鉱石だ。

興味深いことに、カーメルタザイトの化学組成は1969年2月8日にメキシコに落下したアエンデ隕石によく似ている。この鉱石が生まれたのは今から6500万年前のことと推定されている。

カーメルタザイトやその母体であるコランダムは、地表から約30キロメートルの深部にあるマントル層で形成されたものだ。地下の高熱と非常に高い圧力を受けて、岩が液状化し、新たな種類の鉱石が生まれた。その後、カーメルタザイトを含むコランダムは、火山活動の影響を受けて地表近くまで押し上げられてきた。

カーメルタザイトは、火山岩のなかに埋まった状態で発見された。大きなブルーサファイアに似たメタリックな輝きを放つ、ほとんど黒に近いグリーンの石として見つかったという。これまで見つかったなかで最大のカーメルタザイトは、33.3カラットのものだ。

採掘企業のShefa Yamimは、この石を「カーメル・サファイア」という名で市場に送り出そうとしている。現状では今後どの程度のボリュームのカーメルタザイトが採掘可能であるかは定かではないが、Shefa Yamimはカルメル山の火山岩の中から、さらにこの鉱石を採掘可能だと考えている。

宝石の価値は一般的に、その鉱石の稀少性を反映するものだ。カーメルタザイトが将来的に、ダイヤモンドよりも高値で取引される可能性もある。

編集=上田裕資

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