世界のエンスーが待ちに待ったクルマ、新型トヨタ・スープラが14日、デトロイト・モーター・ショーで盛大に発表された。Toyota GAZOO Racingが展開する「GR」シリーズ初のグローバルモデルとしてのお目見えとなった。
しかし、3色のモザイク偽装テープを脱いだスタイリングは賛否両論。発表会場で肉眼で見た国際メディアからは、「格好いい。旧型を上手い具合に解釈してる」という褒め言葉も飛べば、「エッジが効きすぎてて新しさを感じない」という辛口コメントもあった。
先月、僕はそんな新スープラの走りを確かめるために、某サーキットで試乗をしてみた。第一印象としては、デザインはともかく、パフォーマンスとハンドリングは期待していた以上だった。
だって、パワートレーンは超一流のものだ。パワーユニットはなんと340psを発揮するBMW製直6ターボで8速のA/Tが付いているので、加速性は抜群。ゼロから100km/hまでの加速は4.1秒とかなり早い。
サーキットでかなりプッシュしてみたけど、急な加速を要求しても、急な減速を求めても、スープラは全部答えてくれる。しかも、デトロイトで一般公開されたスペックは、500Nmのトルクを叩き出すということだ。
でも、ちょっと待った。皆この新スープラに興奮しているけど、忘れてならないのは、旧型のA80スープラが2002年に生産中止になっているということだ。面白いことに、17年前にトヨタがスープラを生産中止にしてから、同社の熱狂的なファンは次期モデルを手が喉から出るほど、待ちに待った。
その間、スープラが名前と伝説を保ってこられたのは、シリーズ累積で5兆円の興行成績を持つ大ヒット映画「ワイルド・スピード」とグランツーリスモでの登場のおかげと言ってもいいだろう。
そして、新型の具体的な話が出てきたのは2012年。トヨタとBMWが次世代スポーツカーの共同開発をすると発表したときだ。あれから7年も経っている。はっきり言って、待ちくたびれたと言ってもおかしくない。
不思議なことに、「スープラには10個のフェイク・ダクトがある」というアメリカの有力ウェブサイトがある。つまり、「な〜んちゃって」ダクトというか、「嘘の穴」がボディに開いているという。
でも、スープラの多田主査に聞いてみたところ、「フェイクではなくて、最初から企画していたダクトで、全て意味があります。全世界のモータースポーツのファンがレースなどに出る時に、スープラの性能を上げるために、そのダクトをそのまま穴を通せば、エンジンやブレーキの冷却性能が良くなります」と説明してくれた。