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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」


さて、新型スープラ「A90」は、その期待に答えられるだけの素質はあるのか、袖ヶ浦フォーレスト・レースウエイで試してみた。あ、言ってしまった。

ついに偽装を脱いだボディを初めてみた時、その筋肉質なリア周りと彫刻っぽい部分にひと安心した。そのマッスル・ボディを見ると、デザイナーは「アベンジャーズ」シリーズのトール役、クリス・ヘムズワースにインスパイアされたのではないかと思う。



でも、正直なところ、このクルマは美しいというより、機能的でマッチョな張り出しを使っていると感じる。正直にいえば、2014年にデトロイトで発表されたFT-1コンセプトにもう少し近いデザインだったら、もっと格好良かったのにね。

シルエットは旧型A80とほぼ同様だけど、全体的なフォルムが綺麗だ。ヘッドライトの角度は多少保守的に感じたものの、大型フロントのエアダム、削り取られたようなサイドのプロファイルと、ジェニファー・ロペスのヒップを思わせるようなリアのブリスターフェンダーが格好いい。

インテリアは、柔らかな赤と黒の2色の本革を採用していて、ダッシュボードにはさりげない直線デザインが取り入れられて落ち着いた雰囲気。上品なデジタル系ゲージは大人向けの仕上がりだ。これは思いっきりのスポーツカーというより、GTカー、つまりグランツアラーのイメージが強い。



サーキットに出ると、BMW製の直6ターボの溢れるパワーに思わず微笑みが溢れる。これは期待通りだ。もう一回繰り返すけど、このパワートレーンはBMWが作ったものだから「すごく良い!」 言い換えれば、採用している新BMW Z4が世界の超一流エンジンの1つだからこそ、加速感、ドライバーに伝わる音と良い振動はハンパない。

340psを発揮する新スープラの直6ターボエンジンを、8速のデュアル・クラッチのトランスミッションと組み合わせているので、パドルをいじると、ショックなしで素早くシフトしてくれる。言うまでもなく、この直6エンジンと8速A/Tの相性が良くて、4000回転以上のエキゾーストノートは低音で乾いた迫力の音だった。

ステアリングは手応えがあってちょうど良い重さ。狙ったラインを綺麗にキープしてくれて、しかもロールは少ない。乗り心地は多少硬めだけど、毎日の通勤に使えると思う。試してみた4ポットのブレンボー製ブレーキの制動力は十分で、ブレーキフェードをほとんど感じなかった。

全開のコーナリングでテールを流したときに、少しピーキーな反応を起こす。これはあくまでもサーキットやワインディングなどで思い切りスポーツ走行をしている時、ある一線を越えるとバランスを崩すこともある。でも、1月の発表前までにトヨタがその辺りは直すと言っていた。



ということで、このクルマは、ジャポネスクな外観の迫力は欧州のライバルと負けていないし、パワー感とハンドリングは一流だ。価格はアメリカでは5万920ドル(約556万円)から。でも、日本の価格設定は600万円台になるだろう。GTカーである新スープラは、期待通りの出来上がりだ。発売が待ち遠しい。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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