ビジネス

2019.01.19

ハリウッドの伝説的エージェントに学ぶリーダーシップ

『Who Is Michael Ovits?』の著者、マイケル・オーヴィッツ(Photo by Jamie McCarthy/Getty Images)


■イメージが全て

オーヴィッツは、成功するための装いをしていた。アルマーニのスーツやグッチのローファーなど、その服装は完璧だった。こうすることで、顧客に自分の真剣さを示したかったのだ。オーヴィッツは「第一印象に注力することで、われわれは言葉を発する前に新しい顧客を得られた」と書いている。

■企業の価値観

CAAでは、社員全員が自社にとって重要なことを深く理解していた。これは同社のDNAの一部となった。オーヴィッツはこれを「4つの戒律」と呼んでいる。

・顧客や同僚にうそをつかない
・かかってきた電話は全て、当日中に折り返し連絡する(できない場合でも、少なくとも1日待ってもらうようにアシスタントを通じて連絡する)
・フォローアップを怠らず、相手に疑問を持たせたままにしておかない
・競合の悪口を言わない

■顧客へのフォーカス

顧客を成功させることにこだわっていたオーヴィッツはこう記している。「私は相手に強く集中し、自分について話さないよう常に気を配っていた」

ただし、オーヴィッツは顧客に対して正直でもあり、悪い点について事前に伝えたりしていた。彼いわく、これはインフルエンザに対する予防接種のようなものだという。「顧客を失う最も簡単な方法は、できないことを約束すること。顧客は常に忘れないものだ」

オーヴィッツは顧客との関係構築のため、毎年1000通を超える手書きの個人的な手紙を書いていた。彼の会社には「ギフト部」まであり、顧客に年間50万ドル(約5400万円)以上を費やしていた。同部門にはできるだけ、顧客の趣味や興味に関するものを集めさせた。また、使い捨てできない贈り物をするよう注意し、希少本や絵画、さらには車をプレゼントした。

■チームワーク

これは間違いなくCAA特有のもので、競争に素早く参入するのに役立った。チームワークに注力することで力が何倍にもなり、顧客にとってずっと良い結果を出すことができた。オーヴィッツはこれを、バスケットボール選手のマジック・ジョンソンが使った速攻法に例えている。

オーヴィッツは、CAAには「上下関係や肩書、指示系統、ネームプレートがなかった」と説明。これは「米国チームスポーツの激賞法とスパルタの軍術、アジアの哲学をかけ合わせ、三銃士のコミュニケーション精神で仕上げをしたようなものだ」と記している。

編集=遠藤宗生

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