学生間で「過去問共有サイト」利用が横行 対策迫られる米大学

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米国の大学では、フラタニティやソロリティと呼ばれる学生組織がメンバーの勉強の成果を保管し、代々受け継いできた。例えば、スミス教授の「植民地時代の米国史」を受講しているなら、書類棚から過去問や小論文などを引っ張り出すだけでよかった。植民地時代の歴史に変化はないため、スミス教授が試験や課題の内容を変える可能性は低い。

しかし、デジタル時代に入り、ファイル共有がより簡単になると、書類棚を使った共有法は廃れ、代わりに学生たちはソーシャルメディア上のグループを使って過去の課題を自由に投稿したり、ダウンロードしたりするようになった。この方法は今も一般的に使われている一方で、大規模な国際的ウェブサイトの登場で進化も遂げている。

こうしたサイトでは、学生が自分の課題や論文をアップロードすることで得たポイントを使い、他の学生がアップロードしたデータをダウンロードできる仕組みになっている。中には、アップロードにより現金を稼げるサイトすらある。

こうしたサイトは数百万人が利用する規模に成長しており、その数も増殖している。メリーランド大学ユニバーシティカレッジ校(UMUC)大学院のダグラス・ハリスン副学長によると、学業成果物の共有を仲介する「違反サイト」は600以上存在するという。

データをアップする学生側から見ると、デメリットはほぼない。成果物は既に出来上がっており、いったん成績が付いてしまえば価値がなくなる。困っている学生に手を差し伸べるという名目で自らの行為を正当化することも簡単だ。課題や過去問をダウンロードする学生側にとってはややグレーな問題で、こうしたデータを使って何をするかによって事情は変わる。いずれにしろ学校側からすれば、学習の手抜きにつながる成果物の共有は学業不正だ。

テクノロジーを悪用するこうした不正行為について、多くの大学はあえて目をつむるか、お手上げ状態だった。だが、UMUCのハリスン副学長の下で最近立ち上げられたタスクフォースは、このような不正行為を少なくとも減らすための新たな対策を考案した。
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編集=遠藤宗生

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