#醸し人

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日本酒蔵の多様性を引き継ぐことを目的に事業展開を進めるナオライのメンバーが、これからの社会を創るキーパーソンに迫る連載「醸し人」。目に見える成果が求められる中、独自の時間軸を持って事業に取り組む「醸された経営者」はどのように世界を見ているのでしょうか。

第2回のゲストは、2017年から英字新聞ジャパンタイムズの会長を務めながら、新しい資本主義の在り方を提唱するsatoyama推進コンソーシアムを主催する末松弥奈子さん。

自然由来の資源に新たな価値を加えることで、将来性のある地域社会を目指す「里山資本主義」。その実現に向けて活動する同コンソーシアムの描く未来とは──。自然と「ちょうど良い付き合い」をしたいという末松さんに、これからの地域のあり方について聞きました。


──日本の地方創生の活動を「里山」という視点を通して発信するsatoyama推進コンソーシアムですが、参加してみると事業者への愛情やリスペクトの深さに驚きます。この活動で大切にしていることは何ですか?

私たちは事業者の皆さんを“実践者さん”と呼んでいるのですが、その人たちが向き合っているものが「自然」なのです。みなさん、自然と共生するためにとても大切な昔ながらの自然との付き合い方について経験と知識をお持ちです。

20世紀以降、世界の大きな流れとして、グローバリゼーションや大量生産・大量消費によって、ひたすら右肩上がりの成長を追い求めてきた時代がありました。ところが自然と向き合うと、いつも右肩上がりではありません。良い時もあれば悪い時もあり、その時々に合わせることが必要です。

大量生産・大量販売の中で出す利益と、自然と向き合いながらその年にできたものをきちんと理解してくれる人に販売をして出す利益とでは、同じお塩一つ取っても、捉え方が全く変わります。

作り手が、生活や事業を続けられる環境を整えることがとても大切です。だからこそ、商品はそれに見合った価格にすべきだと思います。私たちが生産者と事業を守っていかなければいけません。

消費者である私たちは、良いものを安く手に入れることだけではなく、生産者と消費者、そして自然がWIN-WIN-WINであることを考える必要があるのではないでしょうか。

人と自然の「ちょうど良い付き合い」を



──普通は、生産者と消費者(または需要と供給)の二者間で価格が決まっていくように思いますが、そこに「自然」が入るところに、弥奈子さん独自の視点を感じます。

持続可能な地域社会を考えた時、そこまできちんと向き合う必要があるのではないでしょうか。

地球温暖化とか海面上昇とか、そういう大きな話ではなくて、「目の前にあるこの食べ物はどこから来たのか?」と、生産者が向き合っている自然に目を向けてみることが大切なのです。商品の背景を知ることができるようになった今であればなおさら、そうすべきだと思います。

──昔だったら、消費者側はそれを知ることができなかった。

そうですよね。今の時代は、どこで、誰が、どのように作っているかを知ることができます。だからこそ、それら一つ一つを大切に扱っていきたいです。

監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり

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