イタリア製なのに英国的なフェリージ|紳士淑女の嗜み

No.2003/A(右)、No.2001/1/A(左上)、No.17/ 70/A(左下)

持ち物にはその人の品格が出る。よい物には理由があるのだ。

ファッションディレクターの森岡 弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る連載。第22回は、イタリア屈指のバッグとして知られる、「フェリージ」をピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):今回はイタリア屈指のバッグで知られる、フェリージです。

小暮昌弘(以下、小暮):私たちがイメージするフェリージとは違って、ずいぶんブリティッシュ=英国的なデザインですね。

森岡:でも意外にイタリアの人って、英国調のスタイル、デザインが好きですものね。

小暮:私がイタリアに初めて行ったのが、1990年代だと思いますが、街を歩く男性がそれまで雑誌などで見ていたイタリアのデザイナー風のスタイルとはまったく違い、トラッドだったのでビックリしましたからね。

森岡:このブリーフケースは、No.2003というモデルです。75年にフェリージが最初につくったブリーフケースに、No.1900というモデルがありまして、その5年後に少しスリムにしたこのNo.2003をつくったそうです。当時のイタリアのファッションも英国調だったそうで、その流れでデザインされたモデル。クラッチバッグのNo.2001も同じタイミングでデビューしています。

小暮:フェリージの創業は73年。光沢あるナイロンと味のあるレザーを組み合わせたコンビネーションのバッグとして日本を含めて世界的に知られますが、早くから本格的なオールレザーのバッグをつくっていたのですね。

森岡:そうですね。あのバッグは美しい色合いのナイロンで、色もいろいろと揃っていて、みんな飛び付きましたからね。トラッドとカジュアルをミックスさせたバッグの先駆けとなったブランドですね。特にブリーフケースが一世を風靡して、人気でしたね。

小暮:今回のバッグは、素材が硬質なレザーで、使い込むほどに味が出そうですね。

森岡: ブリーフケースは自立できるデザインなので、ビジネスに最適だと思いますよ。会議などでさっと書類も出せますし、何より佇まいも凛として雰囲気が出ます。しかもスーツにもジャケットにも合い、艶感もある。

小暮:ビジネスマンでも最近はリュックタイプのバッグを持つ人が多いですが、通勤にはいいのですが、ビジネスミーティング向きとは言えませんからね。
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photograph by Masahiro Okamura, text by Masahiro Kogure, edit by Akio Takashiro

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