EU離脱協定案を否決の英国、合意できる「選択肢」はあるのか?

ウェストミンスター宮殿の前で旗を振る人々(Photo by John Keeble/Getty Images)


政府はこれからどうする?

実際にEUからの離脱を延期するためには、英国は加盟国の離脱に関する手続きを定めた「EU基本条約(リスボン条約)第50条」に基づき、時期の変更に関するEUの同意を得なくてはならない。

だが、EUがそれに同意するのか、条件付きで同意するのであれば、どのような条件を提示してくるのか分からない。労働党のチュカ・アマナ議員のように、EUが延期に応じるとすれば、それは英国が2度目の国民投票の実施を決定した場合だけだと指摘する人もいる。英国が今後、実際に何をどうするのかについては、何も明確になっていない。

ビジネスへの影響

今回の採決の結果を受け、英ポンドは対ユーロで急上昇した。為替市場は結果に対し、前向きな反応を示したということだ。だが、不確実性が残ることは、経済全体にとって良いことではない。

英ウォーリック・ビジネススクールのナイジェル・教授(国際ビジネス研究)は投票に先立ち、次のような見解を示していた。

「政治評論家の大半は、採決の結果を受けて起きると考えられるのは、第50条に基づく(離脱の)延期しかないとの考えを示している。明確さと投資判断の根拠となるものを求める企業にとっては、理想的な状況から全く懸け離れている。多くの企業は次に何が起きるのかが明らかになるまで、投資と雇用の創出を延期せざるを得ないだろう」

──英議会下院で行われた歴史的な投票が明らかにしたのは、議員たちが多くの点で、首相の離脱協定案を支持していないという事実だけだった。

編集=木内涼子

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