世界展開においてローカライズすべきものと守るべきもの
──スタートアップ企業の考え方や環境も異なるのでしょうか?日本のスタートアップ企業の場合、まずは日本でビジネスの成功を狙う、というところが多い気がします。
それは日本というマーケットが大きいからじゃないでしょうか。
日本の中だけでビジネスをやっていても、ある程度の成功というか、ある程度の規模のビジネスを作ることができますよね。
まだ完全に成功したかわからないような未熟なビジネスモデルを、あえて横展開して各国でローカライズをしていくというのは極めてコストが高い上に、成功する保証も無い。その意味では、日本のスタートアップの経営判断としては妥当とも言えます。
しかし、当社は最初からグローバル展開を前提としています。日本では珍しいかもしれませんが、東南アジア発のスタートアップとしては当然とも言えます。
──最初からグローバル展開を前提とされている中で、ローカライズはどのように考えられていますか?
我々もローカライズは大事なポイントとして捉えています。
それは間違いありませんが、それとは別にグローバル企業は自身の譲れないスタンダードを持つべきだと考えています。どの国で事業をやっていようが、ブレないスタンダードを持たないといけないんです。
──それは事業面でということでしょうか?それともマインドの面でしょうか?
両方です。
事業面から見た譲れないポイントもありますし、社員が心得ておかなくてはならない思想的な面もありますね。それは各国の社員に持ってもらうようにしています。
例えば、新しい国に進出した時、ローカル社員が言い訳でよくこう言います。「ここはタイだから!これはタイでは普通だから!」とか、「ここはフィリピンだから!」とか。
そういう話を聞いた時は「そうじゃないんだ、『タイだから』『フィリピンだから』じゃなくて、真のグローバルカンパニーを目指す会社としてこれは譲れないんだ」と言うようにしています。
ローカライズすべき部分と、スタンダードとして持ち続けるべき部分。この線引きを明確にすることが、真のグローバルカンパニーにとって必要だと思います。