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Idein 中村晃一

AIやIoTの活用にあたり、末端デバイスで画像や音声認識のデータ処理を行うエッジコンピューティング。Ideinは、ここで使う末端デバイスに、ディープラーニングを実装する技術を開発している。

「従来とは全く異なる手法の唯一無二の組み込みディープラーニングだ」

中村晃一は自信を見せる。競合の類似技術は、モデル圧縮により計算量を削り、デバイスに実装する仕組み。サーバー側での処理より精度が落ちるうえ、デバイスに組み込むには数カ月の研究開発が必要となる。これに対しIdeinは、プロセッサの計算能力を限界まで引き出し、モデル圧縮なしで実装できる技術を開発した。それも、世界中で普及している安価なデバイス「Raspberry Pi」を用いて。

「従来比で100倍以上のコストを減らせる。これはAI・IoT活用の価格破壊だ」

これまで、AIやIoTの取り組みを実践できたのは、潤沢な資金をもつ大企業や、一部の先進的な企業だけだった。ところが、高精度なディープラーニングを安価なデバイスに実装できれば、その裾野が中小企業や個人にまで広がる。いろんなアイデアをもつ人々が加われば、今までにないソリューションが生まれる。

常識に囚われない発想がこの技術を実現した。先人が積み上げてきた開発ツールをもとに新技術を上乗せしていく一般的な開発手法では、どうしてもモデル圧縮が避けられないからだ。そこでIdeinがとったのは、すべてのソフトウェアスタックをゼロベースで下から上まで積み上げ直すというアプローチ。これには高度な技術とマンパワーが求められる。

「今となってはよくそんなことを始めたなと。普通は手間が膨大でやらない手法。ただ、自分は学生時代に類似の開発をやり遂げた実績があり自信があった」

これに共鳴した国内屈指の技術者が結集。3〜4年かかるはずの開発を、1年半で実用可能なところまで持ち込んだ。

Ideinは、この組み込みディープラーニング技術を、クラウドとつなぐ管理プラットフォームと合わせて提供。販売開始と同時に、世界中の技術者がAI・IoTソリューションを開発できるようにする。

「すべての技術者に使ってもらえるツール。この領域でのメガプラットフォーマーになりたい」

文=眞鍋 武 写真=小田駿一

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