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とはいえ、皮肉なことに私のような投資家にとっては、最高の状態と言える。株価が上がるので、投資家やストックブローカーにとっては好都合なのだ。2012年、安倍氏が内閣総理大臣になることが明らかになった段階で、私はすぐさま日本株を買い増ししたくらいである。安倍氏は「紙幣をさらに刷る」と明言していたからだ。

日本の企業は保護されすぎている傾向があるので、紙幣が刷られればそれだけ利益が上がり、株価も上がる。日銀が利上げを決めたら心配が増すが、すぐに日本株の買いをやめるかどうかは、状況次第だ。すぐには行動せず、しばらく様子を見てから決めるだろう。

ジムロジャーズが「市場が暴落しても保有しておく株」とは

日本の株価が上がったといっても、まだ2万円台程度(2018年12月現在)。1989年末の最高値より4割も低い。当然ながら、株価が落ちている時に買う方が、最高値にある時に買うよりも儲かる。

私はかねてより、「世界中の市場が暴落しても、日本株と中国株、ロシア株は保有しておく。この3つは景気減速の影響を受けることが少ないから」と述べている。アメリカ株は、いま最高値にあるから買わない。日本は株を買うのに最適とは言えないが、まだ「まし」な国だ。「悪くない」と言ってもいい。

ここまで、短期的な視点から日本経済への評価を述べてきた。ただ、時折日本のインタビュアーから「長期的な時間軸から、アベノミクスへの評価を」と尋ねられることがある。けれども、「このままでは、日本に長期的な時間軸はない」と答えざるを得ない。ここまで人口が減少しているにもかかわらず、子どもを作ろうとしないのだから。

日本政府は時には子どもを作るようにインセンティブを与えるが、いつもうまくいかない。そこに人手不足で賃金が上がっていく。老人が増え、社会保障費もどんどん膨れ上がる。だから、日本には長期的な時間軸はないと言うのだ。

ちなみに韓国も少子化問題を抱えているが、朝鮮半島が統一されたら、状況は好転するだろう。北から女性がたくさん南に入っていくし、安い労働力も入っていく。いつの日か日本を打ち負かすだろう。(後編は1月18日公開)

文=大野和基 写真=大岩央

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