米MIT卒業生が立ち上げたロボットレストラン「Spyce」の躍進

(左から)Michael Farid, Brady Knight, Luke Schlueter, Kale Rogers(Photo by Jonathan Wiggs/The Boston Globe via Getty Images)

今から数年前、米国のMITでメカニカルエンジニアリングを学ぶ学生らが、学生寮の地下室で新たなイノベーションについて話し合っていた。

彼らの共通の悩みは、寮の最寄りのレストランで持ち帰りの食事を注文する場合、10〜14ドルの対価を払わねばならないことだった。そこで思い立ったのが、レストランのオペレーションを自動化し、美味しい食事を提供可能なロボットを作ることだった。

そして、2018年5月に、彼らはボストン近郊にロボットが調理するレストラン「Spyce」をオープンした。Spyceの調理場ではロボットが調理や皿洗いまでやってくれる。7.5ドルで提供される韓国風のボウル(ブラウンライスの上にローストチキンとキムチを載せたもの)や同程度の価格のローマ風ボウルは投資家らも魅了し、合計で2480万ドル(約27億円)の資金を有力ベンチャーキャピタルから調達した。

出資元にはMaveronやCollaborative Fundらが参加し、スターシェフのDaniel Bouludがアドバイザーとして加わった。Spyceを立ち上げた4名(Michael Farid、Kale Rogers、Luke Schlueter、Brady Knigh)らはフォーブスの「30アンダー30」にも選出された。

「自分たちはテクノロジー企業を立ち上げるつもりではなかった。自分たちが食事をとるレストランを立ち上げたくてSpyceをスタートしたんだ」と現在27歳のCEOのFaridは話す。

Spyceで顧客らはタッチパネルで注文を行い、様々なスパイスを追加することができる。注文が完了すると、ロボットが食事を作る様子を観察できる。調理は2〜3分で完了し、その後は人間の従業員が最終仕上げを行って、顧客に提供する。



オペレーション主任を務めるRogersは「目の前で出来上がったばかりのメニューを食べられるのは、大きな喜びだ」と話す。

FaridがSpyceのゴールとするのは、人間の従業員の負担を減らしつつ美味しい食事を求めやすい価格で提供することだ。1軒のオペレーションに必要な人員の数は、1シフトあたり2〜5名程度だという。

Spyceのボストンの店には、1日平均で500名の顧客が訪れる。新たな資金を調達した今、彼らは今後さらに拠点を拡大していく計画だ。

「一番大事なのは食事そのもので、そのクオリティを最も重視している」とRogersは話す。「値段を安くすることだけに注力している訳ではない。このオペレーションスタイルで、最高のクオリティの食事を提供しようとしている。しかも、求めやすい価格で提供する努力を行っている」と彼は話した。

【動画】ロボットが作動する様子
https://www.forbes.com/video/5988431713001/#71d322507145

編集=上田裕資

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