職場の生産性改善、カギは従業員のウェルビーイング向上

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生産性の高い従業員

この研究は、職場の人間工学に焦点を当てた。これは、職場が従業員の健康を維持しつつ、仕事の効率向上をどう支援できるかを考えるものだ。人間工学的に優れた環境では、従業員は心身のストレスが減り、仕事の質と量が向上するとされる。

研究チームは、この仮説を検証するため、ある大規模製造工場で、さまざまな人間工学的見地から従業員のデータを収集し、優れた環境への貢献度が大きいものとして、経営側のコミットメント、従業員の関与、詳細な職場のハザード分析、適切なトレーニングという4要素を特定した。

この研究からは、企業が生産性と同じくウェルビーイングにも重点的に取り組む場合、従業員の生産性と健康レベルが同時に向上することが分かった。一方、ウェルビーイングを犠牲にして生産性を優先した場合は同じ結果は得られなかった。

デロイトのデータで示された通り、職場でのウェルビーイング施策を重視する風潮が高まっているものの、生産性向上施策と同じレベルにはほど遠く、従業員の希望する水準にも全く達していない。

従業員のウェルビーイングを向上させるための最も早く費用対効果の高い方法のひとつは、遠隔勤務の導入だ。従業員側からの要望が非常に強いだけではなく、企業側が実質的に何もする必要がないのもメリットのひとつだ。

恐らく最初に取るべきステップは、ウェルビーイングを「あったらうれしい」ものとみる考えから脱却し、ビジネスの戦略的な目標を達成するために必須なものとして捉える考え方へとシフトしていくことだろう。

編集=遠藤宗生

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