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小惑星探査機「オシリス・レックス」 (NASA's Goddard Space Flight Center)

NASAの小惑星探査機「オシリス・レックス(OSIRIS-REx)」が目的の小惑星に到達した。ミッションには表面の物質を採取することも含まれており、成功すれば米国の探査機が初めて、小惑星のサンプルを持ち帰ることになる。

「ついに到達したぞ」と喜びの声を管制塔から発したのは、オシリス・レックスの通信を担当する、Lockheed Martin Space所属のエンジニア Javi Cernaだった。オシリス・レックスが小型ロケットエンジンで減速し、スピードを小惑星ベンヌと一致させたタイミングだった。

オシリス・レックスは2016年9月8日に小惑星ベンヌに向けて地球を出発した。そして、2年以上をかけて約20億キロを飛行した後、2018年12月3日にベンヌに到達。この小惑星は現在、地球から1億2500万キロメートルの距離に位置していて、探査機と地球との通信にはおよそ7分かかる。

今後1年半でオシリス・レックスは小惑星の表面や組成を調査する。そして2020年7月には降下して、試料の採取を行う予定だ。

オシリス・レックスには長さ3.4メートルのロボットアームTAGSAM(タグサム:Touch-and-Go Sample Acquisition Mechanism)が備えられている。小惑星の表面に向けて窒素ガスを噴射し、舞い上がった物質をアームの先のコレクターで回収する仕組みだ。採取できるサンプルの量は60グラムから2キログラムとされている。

その後、2021年3月には小惑星を旅立ち、2023年9月に地球に戻り、サンプルの入ったカプセルを大気圏に放出する。カプセルが無事地球に到着すれば、サンプルの量としては1972年のアポロ17号以来、最大の量になる。

ダイヤモンド状の形の小惑星ベンヌは直径約500メートルで、太陽の周りを1.2年で回り、自転周期は4.2時間だ。一方で、オシリス・レックスは全長6メートルで重さは燃料が満タンの状態で2110キログラムだ。左右に発電用のソーラーパネルが取りつけられている。

「生命の起源」を知るためのデータ

オシリス・レックスはサンプルの採取以外に分光器を使った組成の調査や要素のマッピングも行う。今後100年の間にベンヌが地球に衝突する可能性がわずかながらあるため、太陽光が軌道に影響を与えるヤルコフスキー効果がどれだけ働いているかも調べる。

ベンヌは太陽系が誕生した当初から存在しているとされ、地球に水がもたらされた経緯など、生物の起源を知るヒントが隠されているかもしれない。それ以外にも、ベンヌがミッションの対象に選ばれたのには複数の理由がある。

比較的地球に近く、サイズも大きいため自転速度が速すぎないことがあげられる。また、太陽系の起源を知るための炭素も豊富に存在している。これらの条件に当てはまるのは、地球の近くにある7000個の小惑星のうち、わずか5個だったという。

このミッションのすごさは説明しきれない。オシリス・レックスは今後2年で地球に驚きの画像やデータを送ってくるだろう。しかも、小惑星への着陸も試みるのだ。今後が楽しみでならない。

編集=上田裕資

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