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フォーブス ジャパン ウェブ編集部編集長

アルマーニグループ 社長兼CEO ジョルジオ・アルマーニ

84歳。稀代のファッションデザイナーであり、世界有数のメゾンを一代で築き上げた起業家でもある。あのジョルジオ・アルマーニが、Forbes JAPANのインタビューに書面で応じてくれた。

多角経営の秘訣。クリエイティビティとビジネスの相克。パートナーとの永別。イノベーションの源泉──。レジェンド・イノベーターの内面に迫る。



巨大グループやコングロマリットが市場を席巻するファッションブランドの世界において、今や数少ない個人所有の独立企業として燦然と輝くアルマーニグループ。

そのデザインとクリエイティブの全てを統括し、企業戦略の策定も自ら担う孤高の存在、ジョルジオ・アルマーニが初のプレタポルテのコレクションを発表したのは1975年のことだった。起業は自身にとって、大きなチャレンジだったという。

「私はセルッティのアトリエで貴重な経験をした後、72年にヒルトンなどの企業のフリー・コンサルタントとして働き始めました。その時からたくさんのアイデアや、それを表現したいという思いがあったので、数年後に自然な流れで自分のレーベルを検討するようになりました。とても重要な一歩であり、大きな決断でした。それが叶ったのは、パートナーで友人であるセルジオ・ガレオッティが私を信じてくれたおかげです。それからは、他に目を向けることなく、より完全で正確なアルマーニの美学を創り出すために、一歩一歩進んでいきました」


ジョルジオ・アルマーニ(左)とセルジオ・ガレオッティ。ガレオッティはアルマーニの才能を見出し、共に世界的ブランドを創った盟友であり、パートナーでもあった

セルジオ・ガレオッティはアルマーニの才能を見出し、経営に邁進した。一方、アルマーニはそのセンスとクリエイティビティを最大限に発揮し始めた。

代名詞の如く語られるのが、スーツだ。「ビジネススーツはジョルジオ・アルマーニによって再構築された」と言われた。「私は働く人々のために服を作りたい」という本人の言も有名だ。

「男性向けには、クラシックなスーツのコンセプトを書き直そうと努め、素材、フィット感、ディテールに気を配り、常に更新しています。ジャケットの剛性を取り除き、柔らかい布などを使用するとかね。エレガント、それでいて居心地のいいスーツを身に纏い、自信を持ちながらくつろいでいただきたい」

パートナー、セルジオ・ガレオッティを襲った悲劇

85年、アルマーニグループ創立以来の困難が襲った。共同創業者であり、経営を担っていたセルジオ・ガレオッティが40歳の若さで病死したのだ。

「私の友人であり、パートナーである彼が亡くなってからというもの、会社をやっていくのは簡単ではありませんでした。彼が他界してから、私は会社のマネジメントを学ばなければなりませんでした。そして私は二つの役割を果たしていることに気づきました。ファッションデザイナーとしてのアルマーニと、マネージャーとしてのアルマーニです」

悲嘆に暮れながらも、経営者の役割も背負うことになった。

その後、アルマーニの女性用スーツが爆発的な人気を博した。男性用のデザインを踏襲しながらも、素材や仕立てのディテールにこだわり、女性にマッチしたスーツを確立したのだ。80年代後半、女性の社会進出が進んでいた。

「女性たちはビジネスの世界で自身を主張していたデリケートな時期でした。明確な競争があり、見た目にも気を配るようになりました。ビジネススーツは、着用している女性の権威を表現しつつ、それでいて女性的なタッチも維持しなければなりませんでした」。彼はスーツを通し、女性の生き方や尊厳をデザインしたのだ。



女性たちの奮闘を経て、時代は変わった。

「今日の女性にとって、優先順位は変わりました。もはや男性と同等の価値を証明するために闘う必要がなくなり、より繊細で、個性を受け入れるようになりました。彼女たちは自分に自信を持っていて、ちょっとエキセントリックなものに挑戦したり、受け入れたりしたいと感じています」。常に時代と女性の変化を敏感に捉えてきたことがうかがえる。

デザイナーと経営者 「一人二役」のスペシャリティ

デザイナーとしてのクリエイティビティの追求は時に、経営者としてのビジネスの追求とは相容れないのではないか。純粋な疑問をぶつけた。

「確かに単純ではありません。創造性と市場の間に適切なバランスを取った場合にのみ、良い結果が得られます。それは二重の人生をやっているような感覚かもしれません。私の場合はまず創造的であり、そして次に商業的な観点からコレクションを判断し、ビジネス側にも立ちます。私はこの両者を、現実的かつ正直に融合させるように努力してきました」

まず、デザイナーとしての情熱的な創造活動、そして経営者としての冷静な判断。その絶え間ないプロセスが、ジョルジオ・アルマーニを唯一無二の存在たらしめているのかもしれない。

「創造性と商業性との接点、妥協点を見つけることは容易ではなく、多くのことを学んだ難しい課題でしたが、私の仕事に対する忍耐力と大きな情熱が、最後には報われたと思います」

文=林 亜季 写真=ジョルジオ・アルマーニ提供

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