Forbes Middle East コントリビューイング・ライターであるアラブ首長国連合のグレッグ・ハッカー氏は昨年、個人の技術をオンデマンドで「売買」するためのギグエコノミー・プラットフォームを立ち上げた。
フリーランサーが自分の技術の「単価」を明示してWeb上に公開し、買い手からの連絡を待つことのできるオンライン・マーケットプレイスだ。ハッカー氏に、世界のフリーランサーの現状、そして2019年のフリーランス(ギグ)世界市場について聞いた。
労働力やスキルは「買う」/「売る」双方向プラットフォームの時代
──アラブの、また世界のオンライン・フリーランサー市場では昨年あたり、何が起きたのでしょう?
現在全世界で33%の働き手がフリーランスとして働いており、2020年までにはその割合は50%になると予測されています。米国だけで2018年のフリーランス人口は5730万人、彼らが稼ぐ総収益は1兆円にものぼります。SME(Subject Matter Expert:社内専門家)の必要性も注目され始めました。
世界では昨年あたりから、性質を問わずさまざまな企業(スタートアップも多国籍企業も)が、技術や労働力を「買う」「売る」マーケットプレイス、オンラインコミュニティを必要とし始めたと思います。また個人もギグエコノミーから恩恵を受けられるようになりました。
たとえば自分のスキルを実世界で流通させたい学生、ライフスタイルに合わせてスキルを生かした復職を考えたい子育て中の女性、はたまた数十年現役で培ったベテランのスキルを生かしたい定年退職後の人材などが、オンラインで職場を得られるようになったんです。
そんなスキルの需給プラットフォームとなるグローバルなギグ・オンライン・マーケットプレイス(以下「オンライン・プラットフォーム」)を使えば、言葉の問題はありますが仕事の機会を世界に求めることが可能。そんな時代になってきたのが去年あたりだと思います。
──アラブ首長国連邦では、 2019年には国主導で「アラブ人プログラマー100万人プロジェクト(One Million Arab Coderss)」といった取り組みも予定されています。その目的は何でしょう?
「アラブ人プログラマー100万人プロジェクト」は、アラブ首長国連邦による「ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム(マクトゥーム氏はアラブ首長国連邦副大統領・兼首相)グローバル・イニシアチブ基金(Mohammed bin Rashid Al Maktoum Global Initiatives:MBRGI)」の下に立ち上げられたプロジェクトです。世界中の若いアラブ人に、将来の礎となるようなツール、技術を備えてもらうのが目的です。
とくにコーディング、プログラミングの技術取得を通して、デジタルエコノミーの発展に貢献できるスキルを身につけてもらうこと、そのことでアラブに新しい雇用機会をもたらすことがゴールです。
──この「アラブ人プログラマー100万人プロジェクト」は成功するでしょうか?
はい、プロジェクトの一貫として、1000人のコーダーたちが「コーダー・チャレンジ(the Coder Challenge)」という大会で競い合います。優勝賞金は100万ドル。
他にも賞金5万ドルの賞が9つあり、さらに学生から投票で選ばれた4位までの指導者はそれぞれ賞金20万ドルをもらえるという報奨つきですから、おそらくかなりの話題を呼ぶでしょうね。
次世代の女性デジタル・ノマドのために、そしてハラスメントのない「職場」として
──2019年、女性のフリーランサーは増えると予測しますか?
世界的に見ると、女性就労者の人口は男性に比べてなんと6億5500万人も少ないのです。そんな中、オンライン・プラットフォームは何よりも女性の就労機会を増やすことに一役買うと思います。
次世代の女性のデジタル・ノマドにとって、オンラインで仕事を見つけることの利点はなんといっても「フレキシビリティ」と「選択」の幅の大きさでしょうね。