ビジネス

2019.01.15

ポイント還元率は低減化傾向、カード会社は戦略の転換点に

Ti_ser / shutterstock


自動車購入にカードを使用すれば

アメリカでは、カードをさらにばらまくために、この数年、カード会社の「不定期」キャンペーンが盛んになった。たとえば、アメリカのアマゾンのカードは、去年の後半、旅行関連の消費をしたら、さらにポイントアップというキャンペーンをやっていた。

筆者も所持しているカードなので興味が湧いたが、旅行関連というのは定義がよくわからない。飛行機やホテルはわかりやすいが、「旅行中で使うガソリン代やレストランの支払い」はどうなのか? さらに買い物をするのでも、地元で買うより、地方で買うほうが(旅行のお土産と勘案されてさらに付与されるのかどうか?)いいということなのか? 

筆者はこのキャンペーン期間、いろいろアマゾンカードを使ってみたが、ポイントと消費が紐付いていなく、すべて合計表示なので、結局、どのくらいのポイントアップがあったのか、よくわからなかった。残念ながら、カード会社に連絡しても、納得のいく答えは得られなかった。

アメリカでは、自動車を購入する際にも消費者はカードを使おうとする。各ディーラーは、内規をもって、クレジットカードでの購入限度を定めているが、なかにはカードを組み合わせてカードだけでの購入を認めるケースもあるらしい。仮に600万円の新車をプレミアムカードで買い、5%の還元となれば、30万円も戻ってくる。日本人の感覚からすると、行き過ぎ感がはなはだしいが、競争とはこういうところに行きつくことなのだろう。

カード会社は戦略の転換点に

クレジットカード発行の妙味は、顧客に未払いを残してもらって2桁にも上る利子を(この超低金利時代に)課すことなので、このように、これまでポイント還元負担には目をつぶって、カード会社はとにかく会員獲得を至上命題としていたが、とうとう戦略の転換点に来たと言える。

JPモルガンの場合は、すでに2年前から還元率の低減を始めていて、新規入会者に与えていたボーナスポイントを、2016年には6万6000ポイントだったのが、2017年には5万8000、さらに2018年は4万4000としている。

一方、カードの還元方式の複雑化はまだまだ続いていきそうだが、業界全体として還元率は今年以降、必要に迫られて低減化する傾向にある。日本もこの動きに追随することだろう。消費者は、よりこまめにカード会社の比較やランキングに注目する必要がありそうだ。

そして、カード会社が「苦し紛れに始めるキャンペーン」を見逃さず、そして入会と同時に解約のタイミングをちゃんと手帳につけておくマメさまでが求められそうだ。生活防衛とは、いつの時代も細かいことを厭わないことというわけか。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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