そのヒントを探るべく、日本酒蔵の多様性を引き継ぐことを目的に事業展開を進めるナオライのメンバーが、これからの社会を創るキーパーソン、通称「醸し人」に迫ります。
第2回は2017年より英字新聞ジャパンタイムズの会長を務めながら、新しい資本主義の在り方を提唱するsatoyama推進コンソーシアムを主催、さらには広島県神石高原町を舞台に次世代教育環境の開発を行うなど、幅広く活躍するジャパンタイムズ代表取締役会長、末松弥奈子さんに話を聞きました。
──2017年6月からジャパンタイムズの経営を担われていますね。その決断に至った理由を教えてください。
正直、普通に考えると「いま新聞?」って感じじゃないですか(笑)。でも、ジャパンタイムズの存在意義を考えると、これは未来に繋げていくべきメディアだと思ったのです。
ジャパンタイムズは、日本人が日本を伝えるために発行した英字新聞です。始まりは122年前。今もその役割は変わっていません。日本の今と未来を正しく伝えていくことにコミットしている人たちが、ここにいるわけです。
日本は人口が1億人以上で、日本語という独自の言語がある島国です。海外に興味を持たなければそこで完結することもできるけど、それではいけない。ジャパンタイムズにご縁を頂いた時、大変な使命を背負って長い間発行し続けて下さった先人たちがいたのだという想いに胸を打たれました。
末松弥奈子(Minako Suematsu) 株式会社ジャパンタイムズ 代表取締役会長
──経営をバトンタッチされたとき、どのような想いでしたか?
オンラインで情報を発信するのは、(紙のメディアに比べて)比較的簡単です。同時に、すごい盛り上がったかと思うと、気づいたら他の新しいメディアやツールに関心が移ったりということもあります。また、途中で運営を断念したオンライン・メディアもあれば、運営母体が変わったりするケースもあります。その多くのがまだまだ試行錯誤をしていると思います。
その一方で、例えば新聞は、長きにわたり毎日発行されています。このような事業継続に対する信頼性というのは、現在の読者はもちろん、過去から培ってきた読者との信頼関係、すなわちブランドなんだと思います。
紙の新聞が持っている、このような読者との関係性をさらに強化し、足元をしっかり固めた上でデジタル戦略がどう在るべきかに取り組んでいきたいと思っています。私は25年間IT業界にいたので、紙の良さもよくわかるし、デジタルメディアの難しさについても理解しています。その点でジャパンタイムズというブランドに対して貢献できるのではないかと考えています。