私は20年前から、共創と仕事の未来に関する取り組みに打ち込んできており、歩みを緩める必要があることは明らかだ。時間を取って深掘りし、気を散らすものを減らし、より大きなスペースを持つ。少ない人とつながりを持ち、その関係を深める。
現代ではいかなる分野でも、物事の速度が上がると意義を見出すことが難しい。私はかつて、川のそばに座る旅人のたとえ話をよく使っていた。旅人は川の流れがどのような状態か分からないため、飛び込むのをためらう。一方の私はいつも、川に頭から飛び込んできた。川の流れに深く身を沈めて生きてきた私は、常に動き、行動を取ることに慣れていた。しかし今では川べりに座り、観察し、より大局的な考えを持って、川の行く先を理解することの良さに気づいた。
妻の心の病という極めて痛ましい現実に立ち向かうことを強いられなかったら、私は静かに佇む機会を持てていただろうか。私の根は今、川辺に深く伸びている。私は以前よりも自分にとって大切なものとより強いつながりを持ち、異なる方法で仕事とつながっている。
仕事の未来を考える上で焦点となっているのは、単発や短期の仕事(ギグ)を基盤とした「ギグエコノミー」だ。生活や仕事ではやるべきことが色々とあり、圧倒されてしまうかもしれないが、全てを自分で片付ける必要はない。
デジタルにつながった現代には、あなたの仕事を手伝おうとする人があふれており、物事を小さなタスクに分割して誰かに手伝いを頼むことができる。また、問題を解決し、物事をやり遂げ、生活に必要なスペースを作り出すことができる。
ギグエコノミーは私たちに、川から出て、自分にとって大切な仕事は何かを考えるための時間、そして歩みを緩めて深掘りするツールを与えてくれる。