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SNSマーケティングを社会学的に考える


日本的な「SNS」の限界を超えるために

SNSはソーシャルネットワークサービスの略称ですが、安心社会的なOSが張り巡らされた日本においては、「世間(S)ネットワーク(N)サービス(S)」に近い実態があるともいえるでしょう。知っている人だけでつながりがちな、つまり世間(自分の交際の範囲)のネットワークです。

インターネットによって、そしてここ10年ほどのソーシャルメディアの発達によって、私たちは「つながり」の社会に生きるようになったと縷々説明されます。それ自体は肯定的に議論される意義を持ちますが、一方で私たちは「どのようにつながって(しまって)いるのか」についても意識的でなければならない、と今回のデータは教えてくれます。

そしてこれは、インターネットの普及が進んだことの一つの帰結であるかもしれません。

かつてネット上で発信していたのはイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる人々で、ダンバー数(イギリスの人類学者であるロビン・ダンバーによって提案された概念で、人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度であると推定)を超えてつながりをつくり出すことに積極的だった層です。

しかし、いまそのユーザーは一般に広がっており、ウェブ上で他者とつながることに対する空気感が大きく変質していると感じます。

もちろん、社会的なインクルージョンを高めるためにはSNSが重要というのは間違いありませんが、僕自身は調査結果も踏まえて、「知らない人とも積極的につながりましょう!」「もっと自分の意見をシェアしましょう!」とむやみに推奨したいわけではありません。

むしろここでの主張の本丸は、私たちを取り巻く社会的条件を前提として組み込むこと、その上でマーケティングやコミュニケーションに関わる仕事に取り組まなければならないということにあります。

僕は著書『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』の中で、「タグる」という手法を提案していますが、これは日本におけるSNS活用のささやかな処方箋のひとつになるように思います。

発信者の名前や所属ではなく、内容についてつながっていくこと。ゆるやかに「身分」や「なわばり」が解体され、自由なコミュニケーションの領域を広げていくこと。ハッシュタグによってユーザーが発信を促されていく面もあるでしょう。それによって、少なくともあるレベルにおいてウェブ上のやりとりは豊かになっていくはずです。

文=天野彬

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