1. 原油価格
原油価格について、生産余力の低下、対イラン制裁、インフレ圧力の高まりによって上昇すると予想する人がいる。一方、米国の景気減速が価格の押し下げ圧力になると見込む人もいる。
価格がどのように変動するかは重要な問題だ。原油価格が低水準にとどまれば、世界経済に利益をもたらす要因となるだろう。景気後退を少なくとも1年程度、遅らせることになるかもしれない。
価格が低水準にとどまることは特に、南アフリカやインドなどの原油輸入国にとって有益だ。また、先進国の中央銀行にとっても(インフレ率の低下につながり得ることから)、利上げ圧力が弱まることになる。
2. 貿易戦争
ドナルド・トランプ米大統領はこれまで、「勝利を収めて」きた。だが、2020年の大統領選が近づくなか、株価と経済を上向かせるための方策を必要としている。中国では、経済成長が鈍化している。生産拠点を中国から他のより問題が少ない国に移す外国企業も現れ始めているとみられる。
米投資銀行ゴールドマン・サックスの報告書によれば、「米国が中国からの輸入品全てに25%の関税を課せば、企業の利益に対する影響は重大なものとなる。今年は全く増益が見込めなくなる可能性もある」。
3. 政治とポピュリズム
英フィナンシャル・タイムズ紙は、ポピュリズムを「世界金融危機の真の遺産」と呼んでいる。最近の問題の多くのは、緊縮政策によるものと考えられる。そして、各国政府はこうしたことを理解している。
資産運用会社シュローダーズのグローバル・マクロ・ストラテジー責任者は、各国政府はこれに対する対応として、財布のひもを緩めていると指摘する。
「大型減税という形で行われたトランプ政権の大幅な財政支出も、昨年発表された英国の慎重な政府予算も、数年にわたって維持されてきた緊縮財政政策の終わりを意味している。ほぼ世界中の政府が、有権者の生活を楽にするための措置を講じている」
これらがポピュリズムの高まりを受けたものであれ、あるいは国の財政が改善したことによるものであれ、各国の財政政策は世界経済にとっての追い風となり得る。短期的には、景気後退の懸念を抑えることにもつながる。