ビジネス

2019.01.11

「信念」を持ちつつも、軽やかに生きる術とは

Jacob Lund / Shutterstock.com


僕の場合、主に2つの信念があります。一つは、「プロフェッショナルはプロフェッショナルらしく、価値と結果を出すこと」。もう一つは、「何があっても仲間を守る」ということです。

そして僕は、それなりの立場のある方で、プロらしくない振る舞いをする姿を見たときや、仲間を傷つけられたとき、「プロはプロらしくすべきだ!」「僕の仲間を傷つけるな!」と非常に強い怒りが湧いてしまいます。
 
なぜ、信念に触れると感情が暴走しやすいのか。それは、信念とは、その人が生きるエネルギー源であるからです。僕の場合、常に「プロたる価値を出せているか」「仲間を守れているか」と自分に問いかけますし、それを達成していると思えるとき、無償の喜びを感じます。だからこそ頑張れるし、やる気が続く。

それくらい大切な信念だからこそ、それに反した振る舞いを見ると、許せない気持ちが湧いてくるのです。僕は、立場の弱い人に対しては何も感じないのですが、立場の強い人、影響力を持った人に対して、「リーダーたる者がなぜだ」と怒りが湧いてしまいます。

信念を否定もせず、押し付けもしない
 
この信念が「あの人は許せない」と感情によって暴走してしまうと、今度は自分へのブーメランになってしまいます。「僕だって、それほど価値を出せていないんじゃないか」「本当に仲間を守れてるかなんてわからないし」などと、今度は自分を傷つけてしまうのです。しまいには、自己嫌悪からつい「自分の信念なんて」と否定したりします。
 
感情に溺れないために大切なのは、自分の信念や価値観を正しく認識して、それを他人に押し付けず、かといって否定もせずに、付き合っていくことです。暴走させたり自己嫌悪したりするのではなく、常にニュートラルを保つことです。
 
そのためにまず大事なのは、たとえそれが自分にとっての信念であっても、相手にとってはそうではないことを知ることです。なぜなら、相手にも自分と同じように、全く別の信念や価値観があり、それはそれで守られるべきものだからです。と同時に、自分の信念も価値観も、守られるべきものであり、否定しなくていいのです。

相手を否定して自分を肯定するでも、相手を肯定して自分を否定するでもなく、「どちらも同じくらい大事な信念を持っている」と捉えるといいのではないでしょうか。
 
一見、当たり前のことを言っているようですが、信念を持って突き進むタイプの人ほど、陥りやすい罠でもあります。まずはここを抑えておきましょう。
 
次回は、より具体的に、自分の信念とうまく付き合い、暴走させないための方法をご紹介していきます。

連載:働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
過去記事はこちら>>

文=尾原和啓

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事