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米国の移民政策を、国のためになる政策かどうかを深く分析せず、ストーンとナンバーグが思い付いたアイデアに基づいて決めるなど、奇妙に思えるだろう。だが、それが実際に起きたことだ。支持者らは、壁が当初どのような理由で提案されたかを知らないか、あるいは忘れてしまっている。

トランプは2018年末を前に、50億ドル(約5400億円)の壁建設予算に対する賛成を共和党下院議員らから取り付けた。これと他の要素とが相まって、政府機関の一部閉鎖を引き起こした。閉鎖が始まった後、トランプはツイッターへの投稿で、米国への不法入国を防ぐ唯一の効果的な方法は壁の建設だと主張した。

ウォールストリート・ジャーナル紙は昨年12月の社説で、国境の壁建設は不法移民減少の最善策ではないとし、税金の使い道として正しいものなのかどうかを疑問視。「最善策は、米国内で合法的に働く方法を増やすことにより、不法入国の動機となるものを減少させることだ」と主張している。

米国政策財団(NFAP)の調査でも、同紙の見解に沿った結果が出ている。1950年代、ブラセロ・プログラムによって外国人農場労働者を大量に受け入れたことで、米国への不法入国者は劇的に減少した。多くの農場労働者が合法的に入国したため、国境地帯で拘束された不法移民の数は1953~59年の間に95%減少している。多くの識者が指摘してきたように、国境の壁を建てても、中米諸国の人々が合法的な検問所から亡命申請するのを防ぐことはできない。

米国境警備当局の統計によると、メキシコからの不法入国者は2000年度以降、90%以上減った。人口構造が変化し経済状況が改善されたため、国境の壁建設を主張する根拠となったメキシコからの大規模不法入国は既になくなったのだ。仕事や亡命を求める中米出身者の流入は、そうした人々の母国で近年起きている景気や治安の悪化が原因の現象であり、壁が解決できる問題ではない。

米国とメキシコの国境沿いに壁を建設するというアイデアは、トランプの注意を不法移民問題にとどめておこうとした政治コンサルタントたちが考案したものだった。道理をわきまえた人であれば、壁建設を米移民政策の核とすることが妥当かどうか、疑問に思うだろう。

編集=遠藤宗生

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