だが、方法論について見ていく前に、新年の抱負の達成に必要なものの、見逃されがちなある要素について考えてみよう。ジェロルは、目標設定に当たっては、自分自身の人となり、つまり自分の信念や価値観からゴールを導き出すべきだと語る。そうすれば、もっとしっかり目標を覚えておくことができる。
例えば「テレビを観る時間を減らす」というだけではなく、もっと深く掘り下げること。なぜそうしたいのか? それによって人生がどう良くなるのか? すると目標はこうなる。「テレビを観る時間を減らしたい。なぜなら自分にとって友人や家族は大切な存在であり、人間関係を育む方が大切だと思うから」。こうした目標の説明の仕方が定着するよう、呪文のように頻繁に繰り返すことで、表面的だった目標を深く根付かせることができる。
この点を踏まえた上で、新年の抱負を成功させるためのヒントを以下に紹介しよう。
・シンプルにする
痩せるのが目標なら、具体的に体重を何キロ減らしたいのかを明確にし、それを12カ月で割る。こうして毎月の目標を定めたら、年間目標に向けて逆算しながら行動計画を立てること。目標を細分化することで、少しずつ達成に向けて動くことができる。
ジェロルは「ゴールが遠すぎると、必要なドーパミン報酬を定期的に得られない。より小さい、達成可能なステップを経ることで、各段階でドーパミンが発生し、その快感の反応により、脳が習慣を作り出し、保つことができる」と説明している。
・責任を持つ
人は周囲の支えや励ましを受けると、目標に対してさらに一生懸命になれる。諦めそうになる時はもちろん、目標達成に向けて進む間は常に、自分を支える人々に頼ろう。
・進捗を確認する
目標を作る際は、簡単に進捗を測れる方法も考えること。「改善の経過が見えることは、認知報酬系の成功の一助となる」とジェロルは語る。
日記をつけるなり、机の上に目標ボードを置くなりして、進捗を記録し、経過をたどれるようにすること。これにより、自尊心の向上という報酬も得られる。また、どこまで到達できたかや、結果をさらに良くするために何をすればいいかを考えることもできる。
・小さな勝利を祝う
自分自身をほめることで、脳の強化プロセスに大きく資することができる。肯定的な評価や報酬がプロセスの一部となっていることを確認すること。勝利の祝い方は、ずっと欲しかったものを買う、友人と飲みに行くなど、どんな形でもいい。プロセスの一部に含めることで、頑張り続けられるだろう。