「21世紀サステナビリティ経営の極意」

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昨年、日本でもようやく地球の課題として認識された「海洋プラスチック問題」。単純に海を漂うごみ問題にも思われているが、事態はもう少し深刻だ。

簡単に説明するならば、人間社会が排出したペットボトルやビニール袋など様々なプラスチックごみ(廃プラ)が海に流れ出し、長距離・長期間を移動する中で粉々に砕け、1mmよりもさらに小さい「マイクロプラスチック」になり、それが魚やクジラの体内に蓄積され、さらには海洋深層水などの飲料水となって人間も飲み込んでいるという問題だ。

プラスチックが漂うのは表層だけはない。比重の重いプラスチックは海の底に沈み、また比重の軽いプラスチックも微生物などが付着すると沈む。さらに表層から海流によって海底に引き込まれ、深海を旅するという。とてつもない量のプラスチックが海に漂流しているのだ。

マイクロプラスチックが発生するメカニズムは、まだ完全には解明していない。しかし、プラスチックは人間社会が作り出したもののため、人間社会に原因があることはほぼ間違いない。人間社会がプラスチックの排出を止めない限り、海洋汚染は止まらない。

日本のプラスチック対策は進んでいる?

プラスチック削減の話題になると、日本は「海外より遅れている」という人がたくさん出てくるが、反論する人もいる。「日本は昔からプラスチックの分別回収をしているから、むしろ海外より進んでいるんだ」と。

確かに日本では、プラスチックの分別回収が世界でもトップクラスに進んでいる。国連が2018年に発表した報告書でも、日本の回収は見習うべきだとも指摘されている。

分別回収されたプラスチックは、リサイクルされていることになっている。日本が発表している数字では、日本のプラスチックのリサイクル率は84%で、世界的に見てもかなり高い。コンビニやスーパーで買い物をした食品トレーやビニール袋も、多くの人が分別してプラスチックごみとして捨てるようになってきたので、これもリサイクルされている。

こう考えると、日本のプラスチック対策は進んでおり、日本からはプラスチックがさほど海にも流出していないようにも思えてくる。とすると、日本ではこれ以上プラスチック対策は不要なのだろうか。残念ながら、そうとはならない。

結論から言うと、日本は回収したプラスチックの7割以上を、“燃やして”いる。日本人は、一生懸命分別回収した廃プラは、きっと新しいプラスチック製品に生まれ変わったりしていると思っているのだが、実際にはそのほとんどは、国内で燃やされて消えてなくなって終わりだ。

それでも統計発表されている「リサイクル率84%」も、決して嘘をついているわけではなく、これも正しい。一見矛盾に思えるこの謎は、どこから来るのだろうか。

文=夫馬賢治

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