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「21世紀サステナビリティ経営の極意」


マテリアル、ケミカル、サーマルの3つのリサイクル

重要な点は「リサイクル」という言葉の範囲だ。日本には「3R運動」という言葉があって、プラスチックそのものを減らす「Reduce」、使い捨てではなく再利用する「Reuse」、リサイクルする「Recycle」の3つをしましょう、と教育されている。

最初の2つはわかりやすい。それでは、リサイクル、日本語訳では「再資源化」とは一体何なのか。そして日本のリサイクル率84%のリサイクルとは一体何のことなのか。

日本の政府及び企業は、リサイクルには、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つがあると定義している。

マテリアルリサイクルは、ペットボトルごみがペットボトルに生まれ変わるとか、廃プラが駅ホームのベンチやバケツに生まれ変わるなど、モノからモノへと生まれ変わるものだ。多分、人が想像する「リサイクル」のイメージに一番近い。

但し、このリサイクル方法だと、リサイクルする度にプラスチック分子が劣化してしまい、どんどん品質が悪くなり、使えないものになってしまう。そこで新技術として期待されているのがケミカルリサイクルだ。

ケミカルリサイクルは廃プラをひとまず分子に分解してからプラスチック素材に変えるので、何度でも再生できる。理想的なリサイクルのように聞こえる。しかし残念ながらこの方法は、分子に分解する工程に大掛かりな工場がいるため、資金やエネルギーが結構かかる。

日本のリサイクル率84%のうち、ケミカルリサイクルはわずか4%。マテリアルリサイクルも23%である。さらにそのうち15%は中国に輸出されてからリサイクルされていて、国内でマテリアルリサイクルされていたのは8%にすぎない。今年に入ってから中国政府がごみ輸入を禁止したので、輸出分も行き場をなくしている。

残りはつまり、「ごみ発電」だ

それでは、残りの56%を占める「サーマルリサイクル」とは、一体なんなのか?

サーマルとは、「熱の」という意味だ。サーマルリサイクルは、非常にシンプル。ペットボトルなどのプラスチックをごみ焼却炉で燃やし、その熱をエネルギーとして回収する仕というものだ。回収された熱は火力発電や温水プールに利用されたりしている。ごみを用いた火力発電は「ごみ発電」とも呼ばれている。

プラスチックはもともと原油が原料なので、よく燃えて高熱を発する。生ゴミなど水分の多いゴミは燃えにくく温度が下がるので、プラスチックはいい燃料になるのだ。

ごみ発電には他にも、廃材等を燃料にするものもあるが、木よりも原油由来のプラスチックの方がよく燃える。これが日本のプラスチック「リサイクル」84%のうちの56%の正体である。このサーマルリサイクルが、日本でリサイクル率が世界トップクラスを誇る「打ち出の小槌」だ。

しかし、リサイクルには「循環する」「回る」という意味がある。形状や用途の違う製品になるのは正確にはリサイクルではないという意見もあるぐらいなのに、プラスチックが熱エネルギーに変わることを「リサイクル」というのはさすがにおかしいと感じないだろうか。その感覚が世界の標準だ。

なぜなら、海外にはサーマルリサイクルという言葉はなく、「エネルギー回収」や「熱回収」と呼ばれ、そもそもリサイクルとみなされていない。海外でのリサイクルの主流は、マテリアルリサイクルや、ちゃんとモノに生まれ変わるタイプのケミカルリサイクルだ。

文=夫馬賢治

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