10代女性の「ソーシャル鬱」が増加、男性よりも被害は甚大

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ソーシャルメディアの過度な使用が、人々に心理的な悪影響を与える可能性は以前から指摘されてきたが、とりわけ若い世代でその傾向が強いことが明らかになった。

英国のエセックス大学とユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、SNSを長時間利用する10代は、鬱病にかかるリスクが高く、その傾向は特に女性の間で高いことを指摘している。

研究者らは1万名以上の14歳を対象としたアンケート調査を実施し、SNS利用に関わる質問に回答させた。参加者らはソーシャルメディア活用において「みじめな気分になった」「楽しくないと感じた」「やる気をなくした」といった回答に、同意する、しないの回答を行った。

調査結果から、女性のほうが男性よりSNS依存度が高いことが明らかになった。一日に3時間以上SNSを利用する比率は、女性で40%、男性で20%だった。SNSを全く見ないという女性の比率は4%で、男性の場合は10%だった。

また、SNSの利用時間が長いほど鬱病的傾向が高まることも判明した。ソーシャルメディアのライトユーザーの12%が鬱病傾向を訴えており、ヘビーユーザーでは38%に達していた。

1日あたりのSNS利用時間が3時間以下のグループと、3時間以上のグループを比較した結果、女性の場合は3時間以上の場合、鬱的傾向が26%高まることが判明した。男性の場合は同じ比較で21%の増加だった。利用時間が5時間を超える場合、鬱的傾向は女性で50%、男性で35%となっていた。

毎日5時間もSNSを利用することは、普通とはいえないだろう。起きている時間の大半をソーシャルメディアに費やすことが、精神疾患のリスクを高めることはさほどの驚きではないかもしれない。

研究者らは、長時間に及ぶSNS利用が他の問題を引き起こす可能性についても指摘した。ネットいじめや睡眠不足を招くことも容易に想像がつく。「睡眠時間の短縮や、オンラインのハラスメント被害に遭う可能性も高まる。睡眠時間が短くなると鬱傾向は高まるし、自己承認の低下にもつながる。その傾向は女性のほうが男性よりも強い」と研究者は指摘している。

今回の研究では、被検者らがSNSを受信側のスタンスで使用しているか、発信側のスタンスで使用しているかの違いについてはふれていない。また、全てのグループに同じ指標が当てはまるかどうかは定かではない。しかし、女性のほうが男性より、SNS利用の影響を受けやすい傾向がみられることは確実であり、10歳から15歳の年齢層において、特にこの傾向は顕著だという。

SNS利用が若者のメンタルヘルスに与える影響を長年、研究しているJean Twengeは性別に応じて、その健康的被害の大きさが異なると指摘している。別の研究者は、女性のほうがSNSを通じて他人と自分の比較を行う傾向が強いと述べており、それが良くない結果につながると指摘している。

この分野では、さらなる研究が必要とされている。しかし、特に若い世代の人々は、現状より注意深くSNSを利用すべきであることは確実だ。

編集=上田裕資

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