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2019.01.06

Z世代の相談に24時間対応、米「学費ローン地獄」を救う女性起業家

zimmytws / Shutterstock.com

アメリカでは4400万人以上が学生ローンを抱え、負債額の総計は1.5兆ドルにのぼる。学生ローン産業こそイノベーションが起きてしかるべきだが、「Navient」のような大手が儲けを独占しているのが現状だ。

そんな中、オンライン金融の「CommonBond」が12月4日、学生向けにフィナンシャル・アドバイスを行うスタートアップ「NextGenVest」の買収を発表した。CommonBondのデヴィッド・クラインCEOはNextGenVestと手を組んだ理由を次のように語る。

「現在のCommonBondのターゲット層はミレニアル世代だが、その後ろにはZ世代が控えている。ケリー(・ピーラー/NextGenVest創業者)たちは我々が見たことのない方法でZ世代と関係を築いてきた」

2018年にフォーブスが選出した「フィンテック50」の一社でもあるCommonBondは2012年に創業。5年間金利固定のローンを提供し、大学生・大学院生を対象とした新規のローンでは5%〜8%(初回手数料2%)、借り換えの場合は初回手数料無料で3.18%〜5.65%の金利を設定している。同社のこれまでの貸付総額は25億ドルに及ぶが、デフォルト(債務不履行)は10件以下だという。

一方、2014年創業のNextGenVestはZ世代と呼ばれる1990年代半ば〜2000年代生まれの高校生や大学生を対象に、テキストメッセージによる24時間対応のフィナンシャル・アドバイスを提供する。CEOのピーラーはリーマン・ショック後にJPモルガン・チェイスに入社し、学生ローン地獄に苦しむ人々を目の当たりにした経験から、NextGenVestを立ち上げた。

フォーブスの2018年版「30アンダー30」(社会起業家部門)の一人でもある彼女は、「利用者の学生と無数のテキストメッセージをやり取りする中で、彼らはおすすめの学生ローンを知りたいだけでなく、実際の申請手続きも手伝ってほしいと思っていることがわかった」と語る。

「それでCommonBondのように信頼できるローンを提供する企業と話がしたいと思った」

自社の利益より学生のメリットを優先する

今後、NextGenVestはCommonBondの傘下に入り、アドバイスだけでなく融資にも進出する。ピーラーはNextGenのヴァイスプレジデントに就任する予定だ。

CommonBondは2016年にも返済プランのアドバイスを行うスタートアップ「Gradibe」を買収しており、今回が2度目の企業買収となる。クラインによると、CommonBondは利用者の利益優先の公平な返済プランを初めて提案した米国の金融企業であり、場合によっては他社のローンを勧めることもあるという。

ピーラーはそのようなCommonBondの企業理念こそが、今回自社を売却した理由だと話す。

「私たちは他の企業とも話し合いを持ったが、最終的にCommonBondを選び、CommonBondも私たちを選んだ。CommonBondのビジョンや利用者を最優先する文化に共鳴した結果だ」

編集=海田恭子

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