ビジネス

2019.01.06

「欲求反転法」フィンランドに学ぶ最高の休み方


モーレツに働くことが美徳とされ、知らず知らずのうちに体を鞭打って名誉を得るなど、高次欲求が優先されることが多い時代。結局本当に休みを得るには、一度、高次の意識全てをオフにして、低次の欲求をたっぷり満たすということが必要なのです。

毎日の仕事を通じた高次欲求にとらわれるあまりに、忘れがちになっていた「何が自分にとって大切か?」という問いに直面する。それこそ充実した休みです。現代を生きるなかで偏ってしまった欲求ヒエラルキーを反転させて、人の原点としての幸福に立ち返るのが、この「欲求反転法」です。
 
低次欲求を取り戻そうという動きは、もはや一つの価値観になっています。例えばキャンプ。平日はしっかり都会で働いて、週末は大自然の中で、家族や友人とのつながりのなかで、テントを立て、食を共にし、生きることの原体験を感じる。

他にも、過去には馴染みの薄かったコミュニティファーム。地域社会とつながりを得ながら、自ら野菜を収穫して命をいただく。これも高次をオフにして低次を満たす活動だといえるでしょう。
 
では、このコンセプトはどう生かせるでしょうか。高次の欲求で頭がパンパンになっている我々の日常に着眼してみると様々なアイデアが浮かんできます。

絶景一服エリア:ノイズをシャットダウンして絶景ビューを楽しめる休憩場。仲間との雑談、味わいある一服、そして素晴らしい絶景が三位一体になれば、10分の休憩効率が大きく向上するはずです。


「絶景一服エリア」がオフィスにあったら。都会にも、大空と絶景のランドスケープがある

裸足の社内パーク:靴を脱いでリラックスする、オフィス内の公園。本物のグリーン、ハイレゾの音響、本物の健康遊具。裸足でアスレチック運動でもすれば、ここがオフィスだったことも忘れてリフレッシュできるでしょう。


裸足になるだけでもリラックス効果抜群。フロアが本物のグリーンならなおよし

何もしないツアーズ:高次次をオフにできる、極上の低次充実旅行の専門旅行パッケージサービス会社によるツアー。たとえば行き先は、世界の最果てのような秘境温泉の囲炉裏。四万十川の清流で行う瞑想タイム。日本一長く夕暮れを楽しめる海辺のカフェ。
 
などなど、観光ツアーとは一味違う満足感が得られるでしょう。

以上、アイデア例として企業での休みをテーマとしましたが、この現代において、欲求反転は様々な場所で汎用性があるはず。こんなことを書いていたら私も、今一度高次をオフにしたくなってきました。今週末は家族で箱根に行こうかな……。


小柴尊昭◎電通Bチーム・写真担当。カメラマンとプランナーを兼任。本業は人がより幸せに働くためのインナーアクティベーションクリエーティブ。北欧の生き方に思いを馳せている3歳児父。

文=小柴尊昭 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN 日本の起業家」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

連載

電通Bチームの NEW CONCEPT採集

ForbesBrandVoice

人気記事