「我々はスペースXとは違う」 英ロケット企業CEOの静かな野心

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Orbexがユニークなのは、バイオプロパンと呼ばれる燃料を用いている点だ。バイオプロパンを用いるロケット企業は少ないが、Orbexはこの燃料の採用により他社よりも環境に優しいロケット打ち上げが可能になると述べている。

同社はプロパン燃料の採用で、ケロシン系ロケット燃料を用いる従来の打ち上げよりも、二酸化炭素排出量を90%削減できると述べている。また、機体は再利用可能なものにしようとしている。「Orbexは他にないタイプのロケット開発を目指している」とLarmourは述べた。

Orbexはまた、Magicと呼ばれる仕組みで宇宙ゴミを出さずに、宇宙空間に衛星を送り出す。詳細は明かされていないが、同社が環境に優しい宇宙企業を目指していることは確かだ。

最初のテスト打ち上げは2021年に計画中で、長期的視野から同社は開発を行っている。その後の打ち上げ頻度は、月に1回程度を目指すとLarmour は述べている。また、ポルトガル政府がアゾレス諸島に建設予定の発射台からの打ち上げも視野に入れている。

「多くの人々は誤解しているが、ロケットの打ち上げにあたっては、様々な法的規制への対処に膨大な時間がかかる。法的ハードルの高さは技術的チャレンジと同じレベルのものだ。これまでの経験からそれを実感している」とLarmourは話す。

ただし、これらの課題を解決し、打ち上げの準備が整えば、多くの機会が開かれることになるとLarmourは続けた。数十年ぶりの英国産ロケット打ち上げへの期待が高まるなかで、Orbexの試みは大きく注目されている。しかし、彼らがこのプロジェクトの本格始動を宣言するまでには、まだ時間がかかりそうだ。

「当社の試みが、歴史的な偉業になると話す人もいる。しかし、今のところ我々はただ、今やるべきことを淡々とやっているのみだ」とLarmourは話した。

編集=上田裕資

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