ビジネス

2019.01.07

ハンバーガーの神様が築いた「どんな注文も受ける」という経営方針

Juan Llauro / Shutterstock.com


筆者の近隣にもレッドロビンの店があるが、確かにメニューにない組み合わせでも、たいていのことには応じてくれる。

テリヤキソースを使ったパテにレタスとパイナップルをあわせた「万歳バーガー」なるものをよく注文するが、パイナップルに歯を立てたとたんに豊かな果汁があふれ出て手が濡れるので、あらかじめ半分に切ってもらい、個別に紙でラップしてもらうということを頼む。そんなリクエストも、いつもふたつ返事で引き受けてくれる。

また、上質で熱々なフライドポテトも、もっと食べたいとおかわりを頼むといくらでも持ってきてくれる。ハンバーガーを待っている間に、突き出しがわりに出してもらうこともある。

祖父の代からのパン屋の息子で、少年時代はずっとパンを焼いていたスナイダー。客の難しい注文に答えてこそという姿勢は、その時代からきているという。お客に「コークは好きじゃない」と言われたら、自らコンビニに走ってペプシを買ってきたという逸話さえある。

また、パン屋出身なだけに、ハンバーガーのバンはとても品質がよく、おいしい。さらに、出店ペースを犠牲にしてでもビールが好きなお客のためにビールを出したいというこだわりを貫いていて、ほぼ全店舗でビールを提供する(アルコールを出すとなると、別途ライセンスが必要となる地域が多く、フランチャイズの出店ペースにブレーキがかかる)。

アメリカの外食会社では、カリスマCEOがいなくなったとたんに方針を変更する会社も多い。チキンサンドで有名な某チェーンレストランは、創業者がラスベガスに偏見があり、全米に2200店も展開していても、絶対にラスベガスには出店しなかった。しかし創業者が亡くなるとあっという間に数店舗が生まれた──とこんなふうだ。

スナイダーが引退してすでに13年も経っているが、スナイダーの経営方針が受け継がれているのは素晴らしい。故人の冥福を祈りたい。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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