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2019.01.07

ハンバーガーの神様が築いた「どんな注文も受ける」という経営方針

Juan Llauro / Shutterstock.com

ハンバーガーの神様の1人と言われた男、マイケル・スナイダーが先ごろ亡くなった。ハンバーガーは、相変わらずアメリカの外食産業の中心的存在だが、際限なく進化している。

バーガーウエッブというハンバーガーの統計サイトによれば、現在、ハンバーガーレストランは全米に5万店舗あり、7兆3千億円の業界規模だ。家庭での消費も含めると年間にアメリカ人は5兆個のハンバーガーを食べており、これは週に3個の計算になるという。いまチェーン展開をしているハンバーガーレストランの数だけでも、200社以上もあるという。

アメリカでの日本食の進化にも同じ動きがみられるように、「本格派」の追求が進む一方、「創造性」の追求がもう1つの柱となり、これがメニューをどんどん幅広くし、顧客に訴している。

ラーメン・バーガーも登場

マイケル・スナイダーは、まさにハンバーガーの創造性の追求に命をかけた人間で、1979年に第1号フランチャイズとして店を開いた「レッドロビン」というハンバーガーチェーンレストランを大きく成長させ、固定ファンをつくった。

ウイキペディアによれば、本社のオーナーは、日本のすかいらーくに過半数の株式を売却したようだがうまくいかず、その10年後に再び株を買い戻して、スナイダーに経営の立て直しを依頼する。スナイダーは本社の幹部に迎えられ、CEOとして上場までもっていく。

なぜファンは200社以上ものレストランの中からレッドロビンを選ぶのだろう。それは、スナイダーが、レッドロビンの従業員に、「客が欲しがるどんなバーガーもお出ししろ」と指導していたからだ。

そして、そのやりとりを通じて、いいものはどんどんメニューに追加し、品数が膨れ上がっていった。彼らは、自分たちの商品をいつも「グルメバーガー」と称するが、その原点はスナイダーのこの運営方針にあったのだ。

これが高じて、毎年、バーガーコンテストを主催するようになる。全国のレッドロビンのシェフが集まり、自分の創ったバーガーを出品する。その優秀作品がまたメニューに加えられていく。2016年には、ロスとニューヨークの期間限定でラーメン・バーガーなるものまでメニューに加わった。
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文=長野慶太

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