監視社会中国、学校に「スマート制服」導入 居眠りに警報

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中国の政府系メディア「環球時報」が先日掲載した記事によると、中国南西部の貴州省と広西チワン族自治区の11の学校で、スマート制服を生徒に着用させる試みが始動した。この制服は現地のテック企業Guanyu Technologyが開発したものだ。

制服には生徒らの現在位置や行動を監視する2つのチップが埋め込まれており、教室で居眠りした場合や、許可なく校外に出た場合はアラートが作動する。

貴州省仁懐市の第11学校校長のLin Zongwuは、環球時報の取材に「学校関係者らはこの制服で、生徒の登校時刻や帰宅時刻を正確に記録し、データを親や教師たちに自動的に送信できる」と述べた。

各学校は顔認証システムを用い、制服のチップを照合しており、他人の制服を着用して校内に立ち入ることはできない。違反行為を発見した場合は警報が鳴り響く。

この試みは2016年の秋から始動しており、導入する学校数は大幅に伸びたという。ただし、一部からは批判の声もあがっている。ソーシャルメディアには「これではまるで刑務所のようだ」との書き込みが掲載され、「将来的には同じ仕組みが大人にも導入されるのではないか」との見方もあがる。

環球時報はこの制服が、プライバシー侵害の懸念を引き起こすと指摘した。この制服は学校外での生徒の行動を把握することも可能だ。

Lin Zongwu校長によると、校外での行動監視は現在、行わない設定になっているが、生徒が行方不明になった場合や、学校をサボった生徒を追跡する場合に利用される可能性もある。

これは、根本的な原理としては「iPhoneを探す」機能と同じテクノロジーではあるが、薄気味悪いものであることは確かだ。

編集=上田裕資

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