フォーブス ジャパン ウェブ編集部 エディター


──2019年、アートと購買者の関係はどうなっていくべきでしょう?

2018年の3月に『現代アートとは何か』を上梓してから、よく講演などを頼まれるようになりました。アートに対する、またアート市場に対する社会の興味関心は高くなっているな、と思います。

それと同時に、多くの人が浮き足立ってアート作品を「買おう」としている。そのことには、いい面と悪い面があります。

まず、いい面。それは、マーケットが活性化すれば当然ながら業界が潤うことです。

悪い面は、すでに言及したとおり、値段が馬鹿らしいほど高騰していくこと。そして何よりも購買者の多くが、「アートとは何か」を考えないで買っていることです。

「アーチストが何を考えて作っているのか」興味を持たないで買うことは、健全でない、言い換えれば、とてももったいないことだと思います。

アートは、家に、住んでいる空間に、飾らなくてよいものです。ポスターを飾ったり、イラストを飾ったりするように、買った作品を「飾る」必要はない。作品は必ずしも「きれい」ではありませんし。

あくまでも「アーチストを応援するために買う」ことこそが健全で、そのためには、「アートとは何か」ということをきちんと考える必要があると思います。

マルセル・デュシャンは「作品は、アーチストが作っただけでは完成しない。鑑賞者がそれを見て、自分なりの解釈を加えることではじめて完成する」と言っていますが、見て、解釈すること、それが、鑑賞者として参加する際の基本的で重要な行為だと思います。

だから、アートと健全な関わり方をしようとするなら、本当は、買おうが買うまいが関係ない。自分なりに作品を「読む」ことによって楽しめばいいんです。



小崎哲哉◎1955年東京都生まれ、京都在住。カルチャーウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。京都造形芸術大学大学院学術センター客員研究員。同大学舞台芸術研究センター主任研究員。2003年に和英バイリンガルの現代アート雑誌『ART iT』を創刊した。2013年には「あいちトリエンナーレ2013」で、パフォーミングアーツ統括プロデューサーを務めた。近著は『現代アートとは何か』(2018年・河出書房新社)。

構成=石井節子

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