ランキング初登場のTVドラマクリエイター、ションダ・ライムズは昨年、ネットフリックスと推定1億5000万ドル（約168億円）の契約を結んで世間を驚かせた。
米ABCで「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」「スキャンダル 託された秘密」「殺人を無罪にする方法」などのヒット作を連発してきたライムズは現在、自身の制作会社「ションダランド」で8本の番組を製作中だといわれている。最も稼ぐ女性ショーランナー（ドラマの内容に関する最高責任者）であり、推定純資産額は1億3500万ドルにのぼる。
ライムズは今年10月に行われた「ELLE」誌の第25回「Women in Hollywood」式典で、女性が成功することについて次のように発言した。
「私たちは力のある女性だ。そして私たちが『私たちには力がある』と言う時、本当に言いたいのは『私たちには力を持つ資格がある』ということ。自分にふさわしいものを要求することは、過激な行動のように見えるかもしれないけれど、（高額の報酬や賞など）それが何であれ、私たちは受け取る資格がある」
ルーカスフィルム社長で映画プロデューサーのキャスリーン・ケネディは、「スター・ウォーズ」シリーズの多様性あふれるキャスティングで注目された。中でも話題を呼んだのが「スター・ウォーズ／最後のジェダイ」のローズ・ティコ役だ。ローズ・ティコを演じたケリー・マリー・トランは、この超大作シリーズで初めて大役を任された非白人女優となった。
全ての企業の意思決定に女性を
スタジオの内部でキャリアを積み重ねてきた女性もいる。20世紀フォックステレビジョンで会長兼CEOまで上りつめたダナ・ウォールデンは、ウォルト・ディズニー・カンパニーによる21世紀フォックス（20世紀フォックスの親会社）の部分的買収にともない、ディズニー・テレビジョン・スタジオとABCエンタテインメントの会長に就任した。
今後は20世紀フォックスのテレビ部門に加えて、ディズニー傘下の ABCとその関連のネットワーク局などを束ねる。ウォールデンは、すべての職場の意思決定を行うポジションに女性がいるべきだと主張する。
「すべての団体のトップ、すべての企業の役員会に女性の姿があるべき。採用や新人研修を行う時は、次世代の女性リーダーを育成するという意識を持つ必要がある」（昨年の「最もパワフルな女性」ランキング発表時のインタビューより）
#MeToo運動は沈静化したが、女性たちの毅然とした行動は続いている。米「ヴォーグ」編集長のアナ・ウィンターは、モデルからセクハラ告発を受けた著名フォトグラファーのブルース・ウェーバーとマリオ・テスティーノを同誌から追放。モデルと写真家の行動規範を明確にした。
その「ヴォーグ」の栄えある9月号の表紙を飾った歌手のビヨンセも、「最もパワフルな女性」にランクインした一人だ。ウィンターから表紙撮影に関する決定権を与えられたビヨンセは、同誌の126年の歴史で初めて黒人の写真家を起用した。また、ビヨンセといえば、今年のコーチェラ・フェスティバルで黒人女性初のヘッドライナーを務めたことも記憶に新しい。
下記に、2018年の「世界で最も影響力の高い女性」ランキングで、メディアとエンタテインメント分野から選出された女性たちを紹介する。
20位：オプラ・ウィンフリー
31位：シャリ・レッドストーン（National Amusements社長、CBS、Viacom副会長）
36位：ボニー・ハマー（NBC Universal Cable Entertainment会長）
41位：ドナ・ラングリー（Universal Pictures会長）
48位：アナ・ウィンター（Conde Nastアーティスティック・ディレクター）
50位：ビヨンセ（歌手）
52位：ダナ・ウォールデン（Disney Television Studios、ABC Entertainment会長）
66位：キャサリン・ヴァイナー（Guardian編集長）
68位：テイラー・スウィフト（歌手）
70位：ザニー・ミントン・ベドーズ（Economist編集長）
71位：キャスリーン・ケネディ（Lucasfilm社長）
74位：ションダ・ライムズ（TVプロデューサー）
77位：アリアナ・ハフィントン（Thrive Global創業者CEO）
88位：ショバナ・バーシャ（HT Media会長兼マネージングディレクター）
94位：プリヤンカー・チョープラー（女優）
