そのためカバンが、「ダンベル並」に重くなっている。Forbes JAPANスタッフ3人のカバンを測ってみたところ、それぞれ3.93kg、4.81kg、そして6.76kgだった。平均して5.2kg。
毎日それほどの重さを肩で支えていたら、身体にどんな影響が出るのだろうか。肩こりや腰痛はカバンが原因なのだろうか。国際会議「ヘルス2.0」で最優秀賞を受賞したバックテック(腰痛対策アプリ展開)の代表取締役でもあり、理学療法士の福谷直人さんに話を聞いてみた。
──Forbes JAPANスタッフ3人が測ってみたところ、仕事用カバンの重さは平均して5kgくらいありました。この重さを毎日一方の肩で支えていると身体にどんな影響があるのでしょうか。
体はカバンを持っている反対側に傾くので、姿勢が悪くなると考えられます。この傾向は、特にカバンのストラップが長ければ長いほど悪化することが医学研究からわかっています。
また、ストラップが長い時には、足の幅が広がりやすく、見た目の悪い歩き方になるリスクもあるでしょう。
──姿勢が悪くなると、肩こりや腰痛もひどくなるのでしょうか。
実は世間で認識されているような姿勢が悪いと肩こりや腰痛になるということは医学では証明されていないため、研究者の立場からすると、『姿勢が悪いと、肩こりや腰痛になるリスクが高まる』とは言えない状況です。
身体症状とは関連性がまだ不明確なのですが、姿勢の悪い人は鬱傾向になりやすかったり、否定的な発言をしやすくなったりするということはわかっていますので、ネガティブな感情面に関連する可能性があります。
──つまり、カバンと肩こり、腰痛の関連性はないということでしょうか。
カバンの重さが肩こりや腰痛には関連するかどうかはわかっていません。ただ、背中の上部の痛みには関連していることが言えそうです。
よく、女性の方で肩甲骨周りが痛いとおっしゃるのはこういった影響があるかもしれません。なお、子供を対象とした研究でも、特にそのような身体への影響は女性で見られやすいとの報告がいくつかありました。