生活をむしばむスマホ依存 IT機器が生むストレスへの対処法

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仕事中、メールの確認と他の作業を頻繁に切り替えると、精神的・感情的な処理能力に負担がかかる。作業間を行ったり来たりする行為自体が精神的な労力を必要とするものであり、これは認知能力の制限につながり、注意散漫とストレスを生む。さらに、頻繁なマルチタスクは多くの場合、あらゆる仕事のパフォーマンスの悪化や、情緒面での悪影響、ネガティブな気持ちにつながる。

ある実験では、人々を2つのグループに分け、片方には1日中メールを頻繁に確認させ、もう片方には1日に3度だけ確認させたところ、メールをまとまった分量ごとに確認したグループでは、緊張のレベルと日々のストレスの度合いが低くなった。ストレス度合が低いことは結果的に、マインドフルネスのレベルや、生産性の自己認識、睡眠の改善につながった。

毎日、メール返信だけのための時間を何度かとるようにしてみよう。その時間が終わったら、他の作業に移ること。私は会社でこれを始めたところ、集中力が非常に高まった(特にこの記事執筆のように集中力を必要とする時は)。私たちは、万一の緊急事態があってはいけないと、メールを常に確認する誘惑にかられがちだ。全てが緊急であり、いつ緊急のものが来てもおかしくないと考えてしまう。

まとめてメール確認をすることに加え、もう二つ試してほしいことがある。

一つは、自分がどれだけの時間をスマホに費やしているが分かる「Moment」というアプリだ。大半の人は、自分のスマホ使用時間を半分程少なく見積もっている。全てのスマホ使用が平等に創られているわけではなく、モーメントは電話をかけたり、音楽を聴いたりする時間はスマホ使用に含めていない。

もう一つは、習慣を壊すこと。大変かもしれないが、習慣を壊すにあたって使える特定のプロセスがある。チャールズ・デュヒッグは著書『習慣の力』で、習慣の作られ方(と壊し方)に関する研究結果をまとめている。習慣は、きっかけ、ルーチン、報酬(見返り)という3つの繰り返しにより形作られる。習慣を壊すためのコツは、きっかけと報酬を変えないまま、ルーチンを変えることだ。

例えば、無意識にスマホをチェックする習慣をやめたければ、この3つを割り出してみよう。退屈したので(きっかけ)、ファンタジー・フットボールの点数を確認すると(ルーチン)、自分の身体がリラックスする(報酬)。これが分かったら、次はルーチンを変えること。退屈したら、スマホに手を伸ばす代わりに、雑誌や本を読んだり、編み物をしたり、夕飯を作ったりする。こうした行動でも、同じリラックスという報酬が得られるはずだ。

テクノロジーが将来この世から消えることはない。テクノロジーは、正しく使えば生活を楽にし、自分が大切にする価値観を支えてくれるものだ。大切なのは、最大限、最高の方法でテクノロジーを使いこなすことだ。

編集=遠藤宗生

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