穴が見つかったのは、気候変動を調査する研究者らがヘリコプターでカリブー(トナカイの一種)の生態を観測している時のことだった。穴の入り口は長さが約100メートル、幅が約60メートルで、深さは約180メートルに達すると推測されていた。
研究チームはこの穴がずっと雪に覆われていたため、誰も気づかなかったと考えているが、現地に住む先住民のグループ(ファースト・ネーションと呼ばれる)に、この穴に関する言い伝えがなかったかどうかを確認しようとしている。
穴の底には水が溜まっているため、地下の構造を詳細に確認することは現時点では不可能だ。しかし、専門家はこの穴が約2キロ離れた地域を流れる川とつながっている可能性を指摘している。川が流れている場所は、穴よりも500メートルほど低い地帯だ。
カナダで最も深い洞窟は、同じくブリティッシュコロンビア州のファーニーという街の近くに存在している。Bisaro Animaと呼ばれるその洞窟の深さは600メートル以上とされているが、研究チームはサルラックの穴のほうが深いのではないかと推測している。考古学者のJohn Pollackが率いるチームは、穴の入り口から60メートルほど降下して、内部を観察しようとしたが、滝に行く手を阻まれた。
次回の調査は、来年の秋頃に行われる予定だ。穴の底に溜まった水が少なくなるタイミングで調査を行えば、この巨大な穴に関する理解がもう少し深まるかもしれない。