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2019.01.02

中国事業行う米企業、長期的な展望に変化はあったのか?

Theresa Schmitt / Shutterstock.com

1990年代後半から中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した当初にかけて、米国企業の非常に多くが同国に強い関心を持つようになった。ナイキのように世界的なビジネスを行う多国籍企業も、キャタピラーのような伝統的な企業も、中国市場を無視することはできなかった。

中国が無視できない市場であることは、その後も変わっていない。在中米国商工会議所が毎年一度、会員企業を対象に行う中国への見方に関する調査では前回、圧倒的多数が中国市場の今後について、強気の見通しを示した。

今年発表された前回の調査結果では、米企業の多くが世界第2位の経済大国について、「長期的に成長を続け、中間層は拡大し、世界最大の消費者市場になる」と予想した。資産運用会社の米パーソナル・キャピタルの最高情報責任者(CIO)は、「中国は物事を数十年単位で考える。中国に投資する人は、同じように考えなければならない」と述べている。

地元企業との差別を問題視

前回の調査では、技術集約型・知識集約型の会員企業の57%が、新たに導入される規制についての「一貫性のなさ、不透明さ」がビジネス上の最大の問題点だと答えた。工業部門で60%、サービス部門で66%の企業が同様に回答しており、いずれも高い割合となっている。

また、中国に関して投資家がよく耳にすることの一つは、米企業は地元企業との競争に勝てないということだ。2016年の調査では、会員企業の過半数(55%)が、競合する地元企業と比べ、中国政府から不当な扱いを受けていると答えた。ただ、そう考える米企業の割合は、前回の調査では46%に減少していた。

そのほか、中国でビジネスを行う米企業は、居心地の悪さを感じることが多いようだ。「歓迎されていないように感じる」と答えた会員企業は、前回の調査で75%に上っており、2015年の調査結果(77%)からほとんど変化していなかった(2016年は81%)。

それでも、中国が自社の投資計画における優先事項の3位までに入ると答えた企業は、前回の調査では会員企業の60%となり、2016年より増加していた。中国市場に対して最も積極的な姿勢を見せたのは、同国の消費者に直接、製品を販売している会員企業だ。これらのうち、中国が投資先のトップ3に入ると答えた割合は、2016年の65%から76%に増えていた。

一方、米中両政府が続ける貿易戦争において米政府が最も問題視している分野の一つ、知的財産権の保護については、前回の調査では会員企業の大多数が、「改善がみられる」と答えた。

透明性はわずかながら向上か

中国政府は「秘密結社」のようなものだ。だが、前回の調査では会員企業の53%が、同国の政策立案とコミュニケーションのプロセスには、透明性の向上が見られると回答した。規則の変更などについて、情報の伝えられ方に問題が増えたとする企業は、10%未満だった。

ただ、伝達される情報が増えても、必ずしもそれが透明性の向上とは言えないだろう。会員企業の67%は、中国政府の体制は閉鎖的であり、意図を解釈するのは難しいと述べている。

米中の2国間関係は非常に重要であると答えた会員企業は、78%に上った。同様に回答した会員の割合は、2016年には72%、2015年には64%だった。一方、前回の調査で「トランプ政権下で中国との関係が改善する」との見方を示した会員企業は、36%にとどまっていた。

今年行われた調査の結果は、2019年中に発表される予定だ。

編集=木内涼子

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