──2019年、個人的に期待している領域などはありますか?
セキュリティトークン、RegTech(レグテック)、サスティナビリティです。
まず、セキュリティトークンに注目している理由を説明しましょう。ブロックチェーンが金融を変えると言われていますが、それが具体的に大きなインパクトを与える対象として、証券の分野に着目されており、それがセキュリティトークンと呼ばれるものです。
従来の金融と融合する形でブロックチェーンの導入が進むことで、機関投資家などの金融業界のお金がブロックチェーンや暗号資産の分野に流入してくることが考えられ、産業の発展に寄与し、メインストリームになる可能性があるからです。
それに関連して、ブロックチェーンおよび新技術が実用化されていくなかで、注視されるのがレギュレーションですが、規制準拠をするためのコンプライアンスのコストは莫大です。
イノベーションを起こすスタートアップが、コンプライアンス対応に追われては、元も子もありません。もちろんレギュレーションを守る土台をテクノロジーを活用して提供し、イノベーションを推進できる環境をつくっていく必要があります。その点から、RegTechには注目しています。
サスティナビリティについては、地球上で人口の増加や資本主義をベースとして大量消費が促されていたり、仮想通貨のマイニングによる電力消費が問題になるなど、人間の経済活動がどんどん地球を侵食しています。
既存の経済のゲームを変えて、環境問題や人々の幸福に及ぶまで、摩耗していくのではないサステナビリティのある形へ変えていく時期なのではないかと思っています。
森川夢佑斗◎1993年生まれ、大阪府出身。京都大学在学中にAltaApps株式会社を創業し、ブロックチェーン関連事業を行う。現在は、仮想通貨ウォレットアプリ「Ginco」を提供する株式会社Gincoの代表取締役として、ブロックチェーン時代の新しい価値交換のプラットフォームを目指している。著書に『ブロックチェーン入門』(ベスト新書)、『一冊でまるわかり暗号通貨2016~2017』(幻冬舎)など。