ビジネス

2018.12.27

GMO、マイニングで特損355億円 中国企業に値段負けか

Goami / Shutterstock.com


──自社でのマイニングマシン開発はどうでしょうか。

18年初頭はマイニング専用機材の調達が難しかったので、GMOが自社開発に乗り出したことは戦略的意図として十分に理解できます。

しかし、まずマイニング専用チップ開発が予想以上に大変だったのではないでしょうか。仮想通貨相場の高騰と投機目的の莫大なキャッシュ流入により、マイニング用のチップはかなりのスピードで進化を遂げています。

現状、マイニングで主に使用されている半導体は一昔前のCPUくらいの技術ですが、GMOは参入時、当時最先端である7nmプロセスという非常に集積率の高いチップ開発を掲げていました。

これは当時の状況からすれば順当な選択ですが、1種類のチップ開発に必要な先行投資は10億円規模と言われており、かつ安定的な量産にこぎつけるまでのハードルは極めて高いです。ハードウェアメーカーではないGMOにとって、この取組は相当に困難だったのではないでしょうか。

加えて、そんなに困難な状況にも関わらず、中国勢を筆頭に競合が次々と参入していたのが、2018年です。GMOのマシンは比較的優位な電力効率でしたが、発売前にBitmainが主力商品の値下げをしており、価格込みでいえばGMO社製のマシンはどうしても見劣りしていました。

半導体業界は基本的に前払いなので、今回の減損には、回収できなかった開発費用だけでなく、予め抑えておいた材料や関連部品の買掛金も入っている可能性が高いですね。開発費用だけで240億円の損失は、かなり高額ですから。

仮想通貨は冬の時代、今後の取り組みを応援したい

──ありがとうございます。今後の仮想通貨業界は、どうなるのでしょうか。

昨年の高騰からマイニング関連事業者が次々と現れており、まさにデジタル時代のゴールドラッシュでした。しかしいまは冬の時代が来ており、マイニング関連事業者は厳しい局面を迎えています。

仮想通貨は投機目的の人も多いため誤解されがちですが、本当の意義は純粋なデジタル・アセットという新たな資産クラスが生まれることです。10〜20年後には、こちらがスタンダードになっている可能性だってあります。

GMOは自社開発からは撤退するものの、他社製品を購入してのマイニング事業は継続するとのことなので、引き続き応援したいと思っています。

文=野口直希

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