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2018.12.30

キノコから包装材を作る米若手起業家 次の挑戦は植物性ベーコン

イコベーティブ社 エベン・ベイヤーCEO(写真左)(Photo by John B. Carnett/Bonnier Corporation via Getty Images)

イコベーティブ(Ecovative)の創業者であるエベン・ベイヤー最高経営責任者(CEO)は、キノコの根の部分に当たる菌糸体を使って物質を作り出している。ベイヤーはボルト・スレッズ(Bolt Threads)との協力を通し、堆肥にできる包装材やバイオ皮革を作り上げてきた。

そしてベイヤーは現在、ハンバーガーよりも構造が複雑な植物由来の代替肉を来年、菌糸体から作ることを目標とし、ベーコンのテストを重ねている。

フォーブスは、ニューヨーク市ブルックリンで行われたバイオファブリケート(Bilfabricate)の会議でベイヤーを取材した。ベイヤーは「夢はステーキと同等のものを作れるようになること」と述べ「植物由来ハンバーガーとしては、ベーコンチーズバーガーが目標だ」と語った。

家族が豚を育てる農場で育ったベイヤーは、フォーブスが2015年に発表した「30アンダー30」の製造業部門に選出されている。ベーコン開発の取り組みを開始したのは6月からだ。

この植物由来のベーコンは、菌糸体だけでできており、食べることができる。科学者らは質を改善するため、菌糸体構造を変えて天然香味料を追加した。ベイヤーによると、ベーコンは非常においしくなり、本物のようにグリルでジュージューと焼けている。「肉が持つ貴重な価値は構造だ」とベイヤーは語った。「私たちは自分たちでも確信を持つため、ベーコンのプロトタイプを作った。これはばかげているだろうか? 悪いアイデアだろうか? それは信じられないアイデアだった」

菌糸体は、さまざまな植物由来代替肉の土台として使用するのに適切な構造を持っているかもしれない。密度を高めステーキのようにすることもできるし、ベーコンのようにカリカリにすることもできる。今までこうした構造がなかったため、大人気の植物由来肉インポッシブル・バーガー(Impossible Burger)のような植物由来代替肉はひき肉製品に限定されてきた。ベイヤーは、菌糸体を食品に使用することで、この問題が解決すると考えている。

包装材、皮革、肉は全く異なるものに思えるかもしれない。しかしベイヤーがイコベーティブで達成したい目標は、科学者が菌糸体に手を加え、さまざまな分野の既存製品に代わるより持続可能な選択肢を創造する場を作ることだ。

「私が見せたものに、ヘムや植物性脂肪、食の専門家が選ぶあらゆる調味料を追加したところを想像してほしい」とベイヤー。「私の勘では、これこそ私たちが次に取り組むことだ」

翻訳・編集=出田静

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