2016年大統領選挙でフェイスブックを通じて行われた情報操作の発覚、ミャンマーでのジェノサイド(大量虐殺)の扇動、ケンブリッジ・アナリティカ問題、自社への批判を封じ込めるための怪しげなPR会社の利用、フェイスブック上のグループがきっかけで起きたフランスの黄色いベスト運動、相次ぐ情報漏えい、広告主やIT企業へのユーザー情報売却──この1年間でフェイスブックに起きたポジティブなことを見つけるのは難しい。
この負のスパイラルの影響は表面化している。従業員は士気を失い、幹部は会社を去り、優秀な人材確保は困難となり、ユーザーは減少、要人の間でのフェイスブック離れが進み、企業各社に対してはフェイスブックやインスタグラム、WhatsApp(ワッツアップ)との関係断絶を求める声が上がっている。フェイスブックを生きながらえさせているのは、ターゲット層への訴求に必死な企業からの広告収入だけだ。
フェイスブックは特定のユーザー層に的を絞った広告掲出について本が1冊書けるほどの情報を提供する一方、顧客のオーガニックリーチを抑制し、目標達成を目指す顧客に対して広告料の支払いを強いてきた。ユーザーの流出が続く今でも、フェイスブックはサイト上での広告に金を投じる企業を多く抱えている。
フェイスブックは株価暴落に加え、政府から訴訟を起こされたり、罰金を科されたりしているものの、これらは今のところさほど大きな影響を生んでいない。フェイスブックが問題を抱えているのではなく、問題はフェイスブックという企業自体にある。
フェイスブックを正すというマーク・ザッカ―バーグ最高経営責任者(CEO)の言葉は空約束であったことが既に判明しており、ザッカ―バーグは自分が無節操で、言うこととやることが逆、偽善的な言い訳ばかりしている人物であることをさらけ出した。