猛者たちがしのぎを削った全英オープン常連のゴルフコース

ロイヤル・バークデール・ゴルフクラブ

ロイヤル・バークデール・ゴルフクラブ

1897年に開場したロイヤル・バークデール・ゴルフクラブは、産業革命などイギリスの歴史上、重要な役目を果たしてきた港湾都市・リバプールにある。そんな名高い港町にふさわしいこの名門コースでは、英国ゴルフ史の中で主要な大会が開催され、猛者たちがしのぎを削った。


イングランドの北西部、アイリッシュ海に面した場所にある全英屈指の港町、それがリバプールである。
 
電車で行くと、ロンドンから2時間ほどで到着できる。日本人にとってはビートルズの出身地ということで有名だが、港町として、英国の産業革命の進展を支えた地として、マンチェスターと並んで名高い。
 
また、産業革命期以前には、大西洋を結ぶ奴隷貿易の中心地であったという暗い歴史ももっている。奴隷貿易廃止後には、アイルランド人およびイギリス人の、アメリカへの移民出発の港としても有名になった。映画となったタイタニック号もリバプール港に船籍を置いていたことは、広く知られているだろう。
 
人口は、狭義の市でおよそ50万人。現在はマージーサイド州の中心都市であるが、もともとはランカシャー州に属していた。リバプールの歴史は1207年、当時のジョン王が都市建設の勅許を与えたことに端を発しており、じつは大変古い。

サッカー・プレミアリーグの強豪リバプール・フットボールクラブの本拠地アンフィールドを市内の中心にもつ一方、古豪エバートンもリバプールを本拠地としており、昔からレッズ(リバプールFCの愛称)とトフィーズ(エバートンの愛称)といえば「マージーサイド・ダービー」と呼ばれるダービーマッチで市内が二分されるくらい、それぞれのチームに熱狂的なファンがついている。
 
産業や鉄道の発展がゴルフ場の発展と深く結びついていることはフォーブス ジャパンの読者にはお馴染みであろうが、リバプール周辺には全英でも至宝といえるようなゴルフコースが、そう遠くないエリアに集まっている。
 
全英オープン開催のローテーションに入っている現在の10のゴルフコースのうち、3つがここリバプールエリアに集積しているのも、自然や歴史的な発展と無縁ではない。すなわち、ここロイヤル・バークデール・ゴルフクラブ、ロイヤル・リバプール・ゴルフクラブ「ホイレイク」、ロイヤルリザム&セントアンズ・ゴルフクラブの3つである。

ホイレイクが加わったのは近年の話であり、歴史的にローテーションに名を連ねていた中でもやはり圧倒的に評価が高いのが、ロイヤル・バークデールであろう。
 
1897年に開場したこのコースでは、過去に10回の全英オープンが開催されている。そこでチャンピオンに輝いたのは、ピーター・トムソン、アーノルド・パーマー、リー・トレビノにトム・ワトソンなど、そうそうたるメンバーで、2017年にはジョーダン・スピースが大会を制している。

ちなみにアーノルド・パーマーの全英オープン初優勝はここ、ロイヤル・バークデールで1961年に開催された第90回大会であった。

記念すべき100回目の全英オープンも、1971年にここで開催されている。また全英女子オープンも過去に6回、51年にはアマチュアで欧米チームに分かれて対決するウォーカーカップ、プロゴルファーによる欧米対決のライダーカップも65年と69年の2回開催されており、ロイヤル・バークデールは英国ゴルフ史において、非常に重要なコースなのである。
 
コースはアウトコースにパー5が1つ、インコースにパー5が3つで反時計回りにスタート。アウトでは5番ホールでコースの北端に行き着き、南に下がりながら17番ホールまで交互に反対の向きに進む。最終18番ホールだけ北へ再度向かい、クラブハウスに戻ってくる設計になっている。
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文=小泉泰郎

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