同社は、女性が所有または経営する若いアルコール飲料企業に、今後10年間で総額1億ドルの資金提供を行うという「Focus on Female Founders(女性創業者にフォーカス)」というプログラムを開始したと発表したのだ。
現在の社長兼最高執行責任者(COO)で、次期最高経営責任者(CEO)への就任が決まっているビル・ニューランズは、リリースのなかでこう述べた。「アルコール飲料業界で働く女性は少ない。私たちはそうした状況を変えるために役割を果たしたいと考えている」
また、上級副社長で最高成長責任者(CMO)を務めるマリカ・モンテイロは、「『Focus on Female Founders』プログラムは、社内やアルコール飲料業界、そして私たちが暮らすコミュニティにおける女性の地位向上を目指す取り組みを、さらに進めるものだ」と述べた。
広報担当シニアディレクターのエイミー・マーティンは筆者に対し、同社にとって女性がいかに大切な存在であるかを語った。「私たちは長年、女性従業員の割合を増やすために対策を講じ、『Women’s Leadership Development Program(女性リーダーシップ育成プログラム)』を通じて社内での女性育成を支援してきた。いまでは、指導的立場にある人のおよそ3分の1が女性であり、女性の上級幹部職の数はここ5年で2倍になった」
マーティンはさらに「現在のアルコール飲料業界の消費者ベースにおいて、女性の数は多いとは言えない。女性が経営するビジネスに投資を行えば、当社と業界の成功を後押しできると考えている」と述べた。
全米女性経営者協会が調査した内容をまとめたアメリカンエキスプレスの報告書によると、アメリカには女性が所有する会社が1160万以上あり、総雇用者数は900万人近い。2017年時点の売上は1兆7000億ドル(約191兆6800億円)に上っている。「非上場企業全体の39%以上を占め、雇用においては8%、売り上げにおいては4.2%の貢献度となっている」という。
この報告書にはアルコール飲料業界についての詳細な数字はないが、女性が所有する企業が2016年から2017年にかけてもっとも増えた業界トップ5は、建設、アート・エンターテインメント・レクリエーション、その他のサービス、宿泊・フードサービス、ユーティリティとなっている。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は2018年6月の報告書で、「女性が創業した企業は最終的に高い売り上げを達成しており、男性が創業した企業と比べて、投資額1ドルあたりで2倍以上となっている。女性が所有する企業は、投資家にとって、投資対象としてより優れているということだ」と述べている。
米国中小企業庁(SBA)も同意見だ。とはいえ、調査会社ピッチブック(Pitchbook)のニュース&アナリシスによると、女性が経営するスタートアップは、2017年にベンチャーキャピタルが提供した資金のわずか2%しか受け取っていないという。