アンコウの濃厚さを味わう「どぶ汁」 真髄はシメの雑炊にあり

(c) 高田サンコ

その鍋の具はアンコウの身に皮、エラ、胃、卵巣、ヒレ、そしてネギや大根などの野菜。調味料は味噌、みりん。味の決め手はなんとも芳醇な「あん肝」をたっぷりと!

アンコウ鍋にはいくつかのスタイルがあるのですが、「どぶ汁」の特徴は、ほとんど水を加えないこと。水分の多いアンコウの身と肝、野菜から出る水分で煮るから、その味は濃厚そのもの。

アンコウの身はぷりぷり、胃はむっちり。エラやヒレをサクサクこりこりと噛み、ふかっとしてあま味のある卵巣を堪能し、食べ進めるうちに期待感が高まる。あらかた具を食べ終えた鍋の前に、ご飯が登場…!待っていました。だって、鍋の底にはアンコウのエキスが煮詰まった出汁と、あん肝がたっぷり溜まっている!

ご飯が投入され、ひと煮立ちしたらすぐにいただく。これは始めがうまい。濃厚なあん肝のスープが、さらさらとしたご飯粒で丁度良い塩梅になって…あぁーっ、おいしい!

そして煮込まれると”めっちゃ”うまい。ご飯がスープを吸ってもったりしだすと、ご飯のあまさが際立ち、濃厚なあん肝のうま味と一体となる。んわーーっ、うまぁい!!

鍋の名はアンコウ料理の決定版、「どぶ汁」。そして、その真髄は〆の雑炊にあり!

寒風吹きすさぶ冬の北茨城。月刊ヤングマガジンで連載していた「海めし物語」の取材に、「あんこうの宿 まるみつ旅館」さんを訪れました。

”冬の鍋の魚”のイメージに上がりやすいアンコウ。スーパーの鮮魚コーナーでも、ぶつ切りになったものを見かけるようになりました。けれど食べることはほとんどなく、あん肝がアンコウの肝だということはフワッと知ってるという程度。

そんな私の前に、ゆうに1メートルはある巨大なアンコウが吊るされて登場しました。鮮魚コーナーはもちろん、水族館でさえ見られない衝撃的な姿。これから食べるのかと感慨深かったです。
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文=高田サンコ

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