経済・社会

2018.12.27 06:00

「出稼ぎの国」フィリピンが中国人労働者であふれる理由


不動産取得の目的

フィリピンの高級住宅地では、中国人による不動産の購入が急増している。ブルームバーグは、「首都マニラの金融街とその周辺の地区ではどこでも、新たな住人が多いことを示すサインであふれている。レストランでは火鍋や点心が提供され、大型商業施設のモール オブ アジアでは、北京語の館内放送が流れる。さらに、不動産価格は高騰している」と伝えている。

「2016年9月以降、中国人を中心におよそ10万人の外国人がフィリピンに移住したとみられている。その大半が首都周辺に集中している。その“大洪水”の影響は、世界のその他の都市の中心部には見られない独特の形で、マニラの不動産市場全体に広がっている」

「中国の投資家らは長年、資産を国外に移すために香港やロンドン、ニューヨークの高級不動産の多くを購入してきた。この新たな(マニラでの)相次ぐ不動産の購入は、動機が何か別のものにある──活況を呈するマニラのカジノ産業だ」

中国政府は、自国民がマカオでギャンブルをすることに対する規制を強化している。そうしたなか、カジノに行くためにフィリピンを訪れる中国人も増加が続いている。同時に、レストランや娯楽産業など、関連する業界での中国人労働者の採用も増加している。カジノ業界やその関連業種でも、賃金は中国国内よりも高いとみられる。

中国がフィリピンをすぐに、もう一つのスリランカに変えることはないだろう。だが、新たなマカオに変えることはあるかもしれない。ただし、それは依然として仕事を求めて外国に出て行かなければならない数多くのフィリピン国民を、助けることにはならない。

編集 = 木内涼子

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